Switch news

知っておきたい世界のニュース

BMIが普通でもお腹周りの脂肪が多いと乳がんに?驚きの研究結果が明らかに

BMIが普通でもお腹周りの脂肪が多いと乳がんに?驚きの研究結果が明らかに
Pexels

乳がんといえば、がんの中でも日本人女性が罹患する割合がトップとされる非常に身近ながんの1つだ。

 

そんな乳がんについて、BMI指数に関わらずお腹周りの脂肪が多い人は乳がんにかかりやすいとする新たな研究結果が明らかとなった。

 

肥満でなくてもお腹周りに脂肪が多いと乳がんに?

 

この研究は、米国の医学誌「JAMA Oncology」に掲載されたもの。

 

研究においては、肥満とされない値のBMI指数を有するにも関わらず、腹部や体幹部に脂肪が多い人は乳がんに罹患しやすくなることが示されたという。

 

また腹部や体幹部に脂肪が多い人はそうでない人と比較すると、BMI指数に差異がなくとも、乳がんへの罹患しやすさは2倍近くにも及ぶとのことだ。

 

乳がんにおいては、欧米では閉経後に肥満であると罹患する確率が高くなる(日本人においては閉経前か閉経後かに関わらず、肥満であると乳がんに罹患しやすいというデータもある)というのが従来の見方であったが、BMI指数に関わらず腹部の脂肪が多い人は乳がんに罹患しやすいとする今回の研究は、そのような従来の見方を覆すものとなる。

 

尚、BMI(Body Mass Index)指数とは肥満か否かを判断する最も標準的な指数とされ、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出され、疾病率が最も低い理想的な値が“22”とされている。

 

Pexels

 

閉経後の3460人もの女性を調査したところ…

 

今回の研究においては、米国国立衛生研究所による閉経後の女性の健康について調査を行う研究プログラムである「Women’s Health Initiative(女性の健康イニシアチブ、WHI)」が収集し、平均して16年間にわたり女性の健康における変化を追跡したデータを使用。

 

その中でも研究者らは通常のBMIを有し、閉経後である50~79歳の年齢にある3460人もの女性に着目し、その身体組成を脂肪量や骨密度などを調べることができる二重エネルギーX線吸収測定法と呼ばれる方法によってスキャンした。

 

この研究によって182人もの女性が乳がんの診断を下されたが、研究対象となった女性の中でも脂肪量が最も多い女性と最も少ない女性を比較したところ、明らかな違いがみられたという。

 

その結果、脂肪量が最も多い女性と最も少ない女性を比較すると、脂肪量が多い女性はそうでない女性と比較し1.88倍も乳がんに罹患する確率が高くなるということが判明したということだ。

 

乳がんに罹患しやすい体質でない人が罹患する原因に

 

「BMI指数が通常であるということのみを告げられるというのは、誤解を招くことだ」

 

今回の研究に携わり、ニューヨークのコーネル大学の機関で教授を務めるAndrew Dannenberg氏は、こう述べる。

 

「数多くの女性は通常のBMI指数を持つにも関わらず、多くの脂肪を蓄えている。これは乳がんのリスクを高めることにつながるということだ」

 

米国では年間25万人もの人が新たに乳がんに罹患しているとDannenberg氏はいうが、氏によるとこれまでは遺伝的に罹患しやすい体質でない女性が乳がんに罹患してしまう理由ははっきりとしていなかったという。

 

しかしこの研究結果が明らかとなったことにより、Dannenberg氏は“認知されていない肥満”がその説明となり得るとしている。

 

お腹周りの脂肪と乳がん罹患のつながりは不明

 

一方、腹部や体幹部に脂肪が多いと乳がんに罹患しやすくなることの理由については、まだ解明されてはいないようだ。

 

しかしその鍵となるものについて、Dannenberg氏は腹部や体幹部に脂肪が多い女性からは、血中のインスリン濃度が高いことが明らかとなっていることを挙げる。

 

「インスリンの濃度の高さと乳がんの発症については関連がみられる」

 

他方で乳がんへの罹患のしやすさを判断する際の基準として、BMIを無視してよいわけではないとの声も上がっている。

 

Johns Hopkins Kimmel Cancer Centerで腫瘍学と疫学の教授を務めるKala Visvanathan氏は、乳がんへの罹患しやすさを判断する際に「彼らの研究は、BMIだけでは不十分であるということを示す重要なニュアンスを加えた」としている。

 

Pexels

 

BMIによって判断される“肥満”と脂肪の多さは時に相関しないが、それが乳がんへの罹患しやすさにおいても当てはまることが示された今回の研究。

 

脂肪をため込まないということは、健康を保つためにはいずれにせよ大切なことであるようだ。(了)

 

出典:NBCNews.com:Belly fat increases risk of breast cancer despite normal BMI, study finds(12/22)

出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ:肥満指数(BMI)と乳がんリスク

出典:TANITA:BMIとは何ですか?

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top