地球には過去に2回、超巨大な山脈が出現していた:豪研究
地球の歴史の中で、2回も超巨大な山脈が形作られていたことが、新たな研究で明らかにされた。
「ジルコン」の結晶を分析
この研究を行ったのは、オーストラリア国立大学(ANU)の科学者たちだ。
彼らは、高い山の麓にしか存在しない希少な元素、ルテチウムの含有量が少ない「ジルコン」の結晶を分析したという。
実は「ジルコン」の結晶の元素組成を調べることで、その結晶がいつ、どこで形成されたのか、また地殻の状態を知ることができると言われている。
その結果、地球の歴史上、超巨大な山脈が形成された時期が2回あることがわかったそうだ。1回目は約20億年前から18億年前まで、2回目は6億5000万年から5億年前までと考えられている。
ゴンドワナ超大陸を縦断していた山
実は以前の研究でも、2回目(6億5000万年から5億年前)の山脈の存在が示唆されており、ゴンドワナ超大陸を横切っていたことから「トランスゴンドワナン・スーパーマウンテン」として知られていたという。
また約20億年前から18億年前にできたとされる「ヌナ・スーパーマウンテン」は、今まで検出できていなかったそうだ。
ジルコン結晶の分布から、これらの超巨大な山脈は、高さが現在のヒマラヤと同じくらいと推定。しかし長さが8000キロメートル以上、つまり米・フロリダ州からカリフォルニア州までの距離の約2倍に及ぶ可能性が高いことが判明した。
進化爆発を促した可能性
今回の研究論文は、2月15日発行のEarth and Planetary Science Letters誌に掲載されたが、主執筆者であるZiyi Zhu氏(オーストラリア国立大学)によれば、この2つの巨大な山脈の形成と破壊は、地球史上最大の2つの進化的な動きを促した可能性があるという。
その2つとは、約20億年前の複雑な多細胞の出現と、5億4100万年前の海洋生物における「カンブリア爆発(カンブリア紀における爆発的進化)」だ。
研究者らは論文において、これらの巨大な山脈が浸食される際に、大量の栄養分が海に流出し、エネルギー生産が進み、進化が加速された可能性が高いと書いている。(了)
出典元:Livescience:Scientists discover lost range of ‘supermountains’ three times longer than the Himalayas(2/4)