「黒は美しい」という言葉で宣伝した、黒いトイレットペーパーのCMに非難が殺到
新しい黒いトイレットペーパーを販売しようとした会社が、CMで使用したキャッチコピーのために非難を浴びている。
「黒は美しい」というキャッチコピー
その会社とはブラジルのメーカー「Santher」。彼らは先日、新商品である黒いトイレットペーパー「Personal VIP Black」を販売。宣伝において「黒は美しい」というキャッチコピーを採用した。
しかもその宣伝に起用されたのは白人モデルのMarina Ruy Barbosaさん。その結果、白い肌の彼女が黒いトイレットペーパーを体に巻きつけているCMなどが流されたという。
しかし、このCMや宣伝素材を見た人々が反発。人種の平等を訴える活動家らの抗議もあり、その後会社はこのキャッチコピーを取り下げたとされている。
反アパルトヘイトの活動家に使われた言葉
そもそもこの「黒は美しい」という言葉は、1960年代後半から70年代にかけて、南アフリカで反アパルトヘイトの活動を行い、黒人意識運動を推進したSteve Biko氏によって使われていたものだという。
彼はこの言葉を、「闇」や「黒」という言葉が否定的に受け取られてきた世界において、黒人自身の意識を変えさせるために使ってきたと考えられている。
Biko氏は70年代の後半、南アフリカでテロリズム法により警察に拘束され、激しい拷問を受けて脳挫傷で死亡。しかし彼の意志は、その後のアパルトヘイト廃止を訴える人々に受け継がれていく。
アパルトヘイト撤廃に尽力した南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領は、Biko氏について次のように述べている。
「時々時代を捉えて、抑圧された人々の希望や願いを統合する指導者が歴史の表舞台に登場することがある。それがスティーブ ビコだった。彼は時代にふさわしい人物、人々の意識を呼び覚ます誇り高き代表者だった」
批判の一方で、問題ではないという意見も
このため「Personal VIP Black」の広告を見た作家のAnderson França氏は、自身のフェイスブックで次のように批判している。
「多くの人々が死んでいった。だからこの言葉(黒は美しい)は今日まで崇拝されてきたのです。また人々は今も命を落とし続けている。だからこれまでにないほど、この言葉は力強く重要なのです。しかしブラジルではこの『#blackisbeautiful』という言葉を入力すると、人々はお尻を拭くトイレットペーパーを目にすることになるのです」
一方、この広告やキャッチコピーを大きな問題として捉えていない人もいるようだ。
ある人物は「それって色の問題だけじゃないの?白や赤や黒…生活の中で使われているすべての色は、全て社会的な文脈の中で使われなければならないの?正直、僕が見る色は、全てトイレットペーパーの色になっているけど」とコメント。
しかし「Santher」のマーケティング・マネージャーであるLúcia Rezende氏は声明で「『黒は美しい』、その色は常に様式と洗練の象徴として捉えられてきました」と述べている。
「Santher」は現在、ソーシャルメディアにおけるキャンペーンから、キャッチコピーと同時にモデルの画像などを除去しているという。(了)
出典元:METRO:Company tries to sell toilet paper using ‘black is beautiful’ slogan with white model(10/24)