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アジアゾウの皮膚から作られる製品、中国での需要増で専門家が警鐘を鳴らす

アジアゾウの皮膚から作られる製品、中国での需要増で専門家が警鐘を鳴らす
Twitter/Elephant Family

欧米の自然保護団体が、ある製品によりアジアゾウが絶滅の危機に瀕する可能性があるとして警鐘を鳴らしている。

 

中国での需要増で密猟が増加する懸念

 

その団体とはイギリスに拠点を置く「Elephant Family」。

 

彼らによれば、中国ではゾウの皮膚から作られる製品の需要が高まっているため、今後密猟が加速する可能性があるという。

 

しかもこの事態は象牙ビジネスよりも影響が大きく、アジアゾウの群れにとってより大きな脅威になっているそうだ。

 

現在、最も影響を受けているのはミャンマーに住むゾウたちで、専門家らはこの問題がエスカレートすれば、今生息しているエリアの半分で、ゾウが絶滅する可能性があると警鐘を鳴らしている。

 

皮膚を粉に挽いて胃薬として販売

 

「Elephant Family」の調査報告によれば、ゾウの皮膚はパウダー状に挽かれ、慢性的な胃の病気を治す薬として中国で販売されており、同様に皮下組織を乾燥させビーズを作り、ネックレスやブレスレッド、ペンダントに利用されているという。

 

しかもそれらの製品は実際の市場で販売され、インターネット上でも取引されており、業者が製品の品質を保証するため、ミャンマーやラオスの工場でゾウの死体を加工するビデオも投稿しているそうだ。

 

実際、中国では50人のトレーダーがソーシャルメディアを通じて販売しており、製品のラベルも中国語でプリントされ、価格も中国の通貨で表示されているとか。

 

さらに中国はすでに国内での象牙製品の取引を全面的に禁止したと発表しているが、国の森林局はゾウの皮膚から作られる製品に対し明らかに許可を与えており、それが合法的な新しい需要を生み出しているという。

 

「どのゾウも安全ではない」

 

「Elephant Family」は、現在ミャンマーに生息しているゾウを2000頭と見ており、ミャンマーの森林局の数字を引用しながら、ここ数年野生のゾウの死が急激に増えていると報告。

 

実際、ミャンマーで死んだゾウの数は2013年に26頭だったのが、2016年には少なくとも61頭にまで及んでおり、ほとんどが密猟によるものだと考えられている。

 

「Elephant Family」のBelinda Stewart-Cox氏は、この問題に対処するため、中国関係者と接触を図り、ミャンマー当局とも密接に連携して活動を行っているそうだ。その上でStewart-Cox氏は次のように語っている。

 

「私たちはこの問題に対処するため協力して取り組むべきです。もはや時間はありません。ミャンマーでは多くのゾウが、あまりにも早く失われているのです」

 

「アジアゾウはアフリカゾウほど、象牙ビジネスによる脅威にさらされていません。アジアゾウの場合、(大きな)牙を持っているのはオスだけで、それ以外は持っておらず、あるいは(メスは)牙が小さいからです。しかしこれ(皮膚の取引)はオスもメスも子供もターゲットにしており、見境がありません。つまりこのことは、もはやどのゾウも安全ではないことを表しているのです」(了)

 

※下の動画には皮をはがれたゾウのショッキングな映像があるため、閲覧にはご注意いただきたい。

 

出典元:ABC News:Asian elephants said at risk from Chinese demand for skin(4/24)

出典元:The New York Times:Asian Elephants Said at Risk From Chinese Demand for Skin(4/24)

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