【パリ五輪】女子ボクシングでイタリアの選手が棄権、アルジェリア選手の参加が物議に

X_Lorraine King

※当記事では、当初イマネ・ヘリフ選手がトランスジェンダーとお伝えしていたが、彼女は女性として生まれていることが確認されているため、訂正してお詫び申し上げます。

パリ・オリンピックの女子ボクシングで、イタリアの選手が棄権し、アルジェリアの選手が勝利したが、その後、さまざまな声が上がった。

「自分の命も守らなければならなかった」

8月1日、女子ボクシング66kg級の2回戦が行われ、イタリアのアンジェラ・カリニ選手と、アルジェリア代表のイマネ・ヘリフ選手が対戦した。

しかし試合開始直後、カリニ選手はヘリフ選手のパンチを受け、ヘッドギアを直すためにコーナーへ戻り、46秒後には、試合を棄権すると宣言した。

Angela Carini (blue, female) abandons fight against Imane Khelif (red, male) a few minutes into fight /1 pic.twitter.com/yOIvZkDaow

— FairPlayForWomen (@fairplaywomen) August 1, 2024

カリニ選手はリング上で泣き崩れ、その後棄権した理由について、「あの瞬間、私は自分の命も守らなければならなかった」と語ったという。

またカリニ選手はコーナーに戻った時、コーチに「これはおかしい」と語っていたそうだ。

過去に失格処分にした国際ボクシング協会

実はヘリフ選手と、57キロ級に出場する台湾の林郁婷選手は、2023年にインドで行われた女子世界選手権の性別適格テストで、男性ホルモンのテストステロンの値が上昇し、失格となったが、パリ五輪では女子種目の出場資格が認められた。

当時、女子世界選手権を主催した国際ボクシング協会（IBA）のウマル・クレムリョフ会長は、「DNA検査の結果、両選手はXY染色体（男性染色体）を持っていることが判明したため、試合から除外された」と説明していた。

国際ボクシング協会（IBA）も7月31日、両者を失格にした理由について、「競技の公平性と、最大限の誠実さを維持するためだ」と述べたという。

またIBAのクリス・ロバーツ最高責任者は8月1日、BBCのインタビューに応じ、世界選手権での失格処分の理由について「女性として競技する資格がないことが判明したから」と述べ、今回の試合についても、次のように述べた。

「資格基準や検査結果に照らして、あるボクサーが他のボクサーよりはるかに強いとすれば、その選手は女子部門にふさわしくないということになるのは明らかだ。それは正しくない。今日、皆さんもそれを目にしたはずだ」

IOCはIBAの判断を批判

一方、パリ・オリンピックへの出場を認めた国際オリンピック委員会とパリ2024ボクシングユニットは声明を発表し、IBAの過去の判断を批判。その上で、次のように述べた。

「2023年のIBA世界選手権の終わりごろ、2人の選手は正当な手続きなしに、突然失格になりました。現在のこの2人の選手に対する中傷は、この恣意的な決定に完全に基づいており、決定は適切な手続きなしに下されたものです。特に、この2人の選手が長年トップレベルの試合に出場していたことを考慮すると、なおさらです。このようなアプローチは、健全な統治に反しています」

また国際オリンピック委員会は、2人の性別や年齢はパスポートに基づいており、両選手が女子カテゴリーの大会で長年にわたり、活躍してきたとの認識を示した。