世界の淡水生物の約4分の1が、絶滅の危機に瀕している
世界の淡水にすむ生物についての調査が行われ、かなり深刻な状態であることが明らかにされた。
2万3000種以上の淡水生物を調査
この調査を行ったのは、国際自然保護連合(IUCN)の研究者たちだ。彼らは約2万3000種以上の淡水動物相の、詳細な絶滅評価を行ったという。
その結果、世界の淡水生物種のほぼ4分の1が絶滅の危機に瀕していることが明らかになり、研究論文を1月8日、イギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載した。
研究対象となった種は、魚類や十脚目甲殻類(カニ、ザリガニ、エビなど)、トンボ、イトトンボなどのトンボ類などとされている。
IUCN淡水生物多様性チームのリーダー、キャサリン・セイヤー氏は、これらの種の約24%が絶滅の危機に瀕しているとし、ABCニュースに次のように語った。
「これは、将来絶滅するリスクが高い、または極めて高いことを意味します。これは非常に憂慮すべき割合です」
ダムや土地利用の変化、外来種の影響も
分析によると、絶滅が危惧される種の割合が最も高いのは十脚目で30%、淡水魚では26%、トンボ類では16%になるという。
またセイヤー氏は、すでに90種近くの淡水魚が絶滅したと報告されていると指摘している。
絶滅が危惧される種のうち、調査対象種の54%が水質汚染の影響を受けており、ダムと取水も39%に影響を与えているそうだ。
土地利用の変化と農業による影響(例えば殺虫剤や除草剤の使用を含む)は、調査対象種の37%に影響を与えており、外来侵入種と病気による影響も、28%に影響を与えているという。セイヤー氏は、次のように述べている。
「ダムは水路を完全に遮断するため、種は下流に移動できず、これまで繁殖や採餌に使用していた生息地にたどり着くことができません。そして、それがライフサイクルを完全に混乱させているのです」
また気候変動も淡水種を脅かしており、分析の結果、調査した淡水種の18%が気候変動の脅威にさらされていることが判明。
セイヤー氏は、地球の気温が上昇すると、生息地が変化し、以前はより寒冷だった生態系で外来種が繁殖しやすくなるとし、今後さらに大きな影響を与えるとの見方を示している。
研究チームは今回、20年以上かけて蓄積された、世界の淡水生物2万3496種の生息データを分析したという。(了)
出典元:ABC News:Nearly a quarter of the world’s freshwater species are at risk of extinction: Report(1/9)