「俺がいなければ大統領選に負けていた」イーロン・マスクのトランプ批判が止まらない

イーロン・マスク氏は先日から、トランプ大統領への攻撃を強めており、SNSにも批判するコメントを多数投稿している。
「なんて恩知らずなんだ!」
マスク氏は6月5日、SNSの「X」において、「私がいなければ、トランプは(大統領)選挙に負け、下院は民主党が過半数を占め、上院は共和党が51対49議席になっていただろう」と投稿した。
現在、上院では共和党が53議席、無所属を含む民主党系は47議席を獲得している。
その上でマスク氏は、トランプ大統領に対して「なんて恩知らずなんだ!」とも投稿した。マスク氏は、大統領選でトランプ氏を支持し、400億円以上を献金したと言われている。
「嫌悪すべき忌まわしいもの」
トランプ政権から離脱したマスク氏は、6月3日、トランプ大統領の「大きくて美しい法案」とされる税制・歳出削減法案について、「嫌悪すべき忌まわしいもの」と批判。
さらにマスク氏は、トランプ氏の法案が、連邦政府の財政赤字の拡大につながるとして、この法案を「言語道断」で「豚肉まみれ」だと非難したという。
トランプ大統領は、マスク氏の批判について、記者団に次のように語った。
「イーロンはこの法案の中身を、ここにいる誰よりもよく知っていた。彼はすべてを知っていた。彼はこの法案に何の問題も感じていなかった。突然、彼は問題を抱えたのだ。EV義務化を撤廃しなければならないと知った時、彼は初めてその問題に気づいたのだ。なぜなら、EV義務化には数十億ドルもの費用がかかるからだ。それは理解できるが、彼はこの法案のあらゆる側面を知っていた。(略)私個人についても悪くは言っていない。でも、次はきっとそう言うだろう。私はイーロンにとても失望している。私はイーロンを大いに助けてきた」
この発言に対し、マスク氏は6月5日、「嘘だ」と反論。「法案を見せられたこともなかった」と投稿した。
「エプスタインのファイルに載っている」
またマスク氏は、第3者からの「ドナルド・トランプ氏は弾劾されるべきであり、JD・ヴァンス氏がトランプ氏の後任になるべきだ」という投稿に対し、賛成の意を示した。
さらにマスク氏は、トランプ氏の世界的な関税措置は「今年後半に景気後退を引き起こす」と警告。トランプ氏が、未成年者への性的虐待や人身売買に関与したジェフリー・エプスタイン被告のファイル(司法省の捜査記録)に載っていると主張し、次のように投稿した。
「本当に大きな爆弾を落とす時だ。@realDonaldTrump はエプスタインのファイルに載っている。それが、ファイルが公表されていない、本当の理由だ」
— Elon Musk (@elonmusk) June 5, 2025
トランプ氏も6月5日、SNSで「マスク氏と政府補助金の契約を打ち切る」と警告。
これに対し、マスク氏は「大統領が私の政府契約のキャンセルについて発言したことを受け、@SpaceXはドラゴン宇宙船の撤退を直ちに開始します」と投稿した。
国際宇宙ステーション(ISS)に数カ月間、取り残されていた4人の宇宙飛行士を帰還させたのは、SpaceXのドラゴン宇宙船であり、マスク氏がこれを実行に移せば、アメリカの宇宙計画にも大きな影響を与える可能性がある。
トランプ氏の長年の盟友であり、イーロン・マスク氏を批判してきたスティーブ・バノン氏は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、次のように述べた。
「彼(マスク氏)は不法移民であると強く信じているため、彼の移民ステータスについて正式な調査を開始すべきであり、直ちに国外追放すべきだ」
なぜマスク氏が突然、トランプ氏を批判しだしたのか、正確な理由はよく分かっていない。
ただ事情に詳しい関係者らによれば、トランプ政権により、マスク氏が支持していたNASA長官候補のジャレッド・アイザックマン氏の指名が取り下げられたことや、「テスラ」などの電気自動車(EV)が義務化されなかったことが、原因と考えられるという。(了)
出典元:The Guardian:Elon Musk escalates war of words with Trump after president threatens to terminate government contracts – live(6/5)