ソ連の元指導者、ミハイル・ゴルバチョフ氏が死去、世界からの反応とは?
旧ソ連の指導者、ミハイル・ゴルバチョフ氏が30日亡くなった。91歳だった。
入退院を繰り返してきた
モスクワの中央臨床病院は30日、「ミハイル・セルゲイビッチ・ゴルバチョフ氏は、深刻で長い闘病生活の末、今晩亡くなった」と述べ、ロシアの各通信社もそれを伝えた。
ゴルバチョフ氏は、脆弱な健康状態で入退院を繰り返しており、パンデミックの間は新型コロナウイルスに対する予防措置として自主隔離を行ってきたという。
ロシアのタス通信は、家族に詳しい情報筋の話として、ゴルバチョフ氏がモスクワのノボデビチー墓地に、1999年に亡くなったライサ夫人の隣に埋葬されると伝えている。
The last leader of the USSR, Mikhail Gorbachev, has died. pic.twitter.com/aX2SBqfqS0
— Franak Viačorka (@franakviacorka) August 30, 2022
以前のソ連指導者と異なり、武力弾圧せず
1985年に54歳でソ連共産党書記長に就任したゴルバチョフ氏は、アメリカとの軍縮協定や西側諸国との提携を進め、冷戦の終結へと導いた人物だ。
彼は第2次世界大戦以来ヨーロッパを分断してきた鉄のカーテンを取り払い、当時、西と東に分裂していたドイツの再統一を実現させた。
また1989年に東欧のソ連圏諸国で民主化運動が激しさを増した時、ゴルバチョフ氏は、1956年のハンガリー動乱、1968年のチェコスロバキアの反乱において戦車で市民を弾圧した以前のソ連指導者とは異なり、武力弾圧を控えたという。
そして1989年12月、ゴルバチョフ氏はアメリカのブッシュ大統領とともに会見を行い、冷戦終結を宣言。このような功績が認められ、1990年にはノーベル平和賞が贈られた。
政治的・経済的自由を限定的に導入
一方、ソ連国内では、ゴルバチョフ氏は近代化を目指し、改革するための試みを続け、低迷する経済を蘇生させ、変化をもたらすことを目的に、ペレストロイカ(再構築)政策を推し進めた。
また、それまでソ連では検閲や政権の批判者に対して厳しい弾圧が行われていたが、ゴルバチョフ氏は「グラスノスチ(言論の自由)」政策も同時に進めたという。
これにより、それまで考えられなかったような共産党や国家への批判が可能になったが、同時に民族主義者を刺激し、ラトビア、リトアニア、エストニアなどのバルト諸国では独立の機運が高まった。
ゴルバチョフ氏は政治的・経済的自由を限定的に導入することで体制を立て直そうとしたが、その改革は制御不能に陥り、結果的に連邦構成国の独立を促し、1991年のソ連崩壊へと繋がった。
世界各国からの反応
冷戦を集結させたゴルバチョフ氏の死去に対し、すでに世界各国のリーダーなどから弔意が述べられている。
アイルランドのMicheál Martin首相は、ツイッターで「ミハイル・ゴルバチョフ氏の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。 彼の歴史に対する感覚と、開放性、改革、西洋との架け橋への取り組みは、世界を変えました」と投稿。
Saddened to hear of the passing of Mikhail Gorbachev.
His sense of history, and commitment to openness, reform, and building bridges with the West, changed the world.— Micheál Martin (@MichealMartinTD) August 30, 2022
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も「ミハイル・ゴルバチョフは、信頼され、尊敬される指導者でした。彼は冷戦を終結させ、鉄のカーテンを解体するために重要な役割を果たしました。それは自由なヨーロッパへの道を開いた。 この遺産は私たちが忘れないものです。安らかにお眠りください、ミハイル・ゴルバチョフ」とツイートしている。
Mikhail Gorbachev was a trusted and respected leader. He played a crucial role to end the Cold War and bring down the Iron Curtain. It opened the way for a free Europe.
This legacy is one we will not forget.
R.I.P Mikhail Gorbachev
— Ursula von der Leyen (@vonderleyen) August 30, 2022
イギリスのボリス・ジョンソン首相も「ゴルバチョフ氏の訃報を聞き、悲しく思っています。冷戦を平和的に終結させた彼の勇気と誠実さに、私はいつも感心していました。 ウクライナでのプーチンの侵略の時代において、ソビエト社会を開放するための疲れを知らない彼の努力は、私たち全員にとって手本であり続けています」とコメントした。
I’m saddened to hear of the death of Gorbachev.
I always admired the courage & integrity he showed in bringing the Cold War to a peaceful conclusion.
In a time of Putin’s aggression in Ukraine, his tireless commitment to opening up Soviet society remains an example to us all.
— Boris Johnson (@BorisJohnson) August 30, 2022
アメリカの元国務長官であるコンドリーザ・ライス氏も「ミハイル・ゴルバチョフ氏の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。彼は人々により良い生活を送らせようとした人でした。彼の人生は重要でした。なぜなら彼と彼の勇気がなければ、冷戦を平和的に終わらせることはできなかったでしょう」とツイートしている。
I am saddened to hear of the passing of Mikhail Gorbachev. He was a man who tried to deliver a better life for his people. His life was consequential because, without him and his courage, it would not have been possible to end the Cold War peacefully.
— Condoleezza Rice (@CondoleezzaRice) August 30, 2022
イギリスの自由民主党の元党首であるTim Farron氏も、ツイッターに次のようなメッセージを寄せている。
「1980年代に10代の若者だった者として、(核)爆弾の影の下で暮らしていた時、ゴルバチョフ氏は、その影を払いのける直接的な希望を私たちに与えてくれました。彼はまた私たちに示してくれました、強いイデオロギー的信念を持っていても、意見が合わない人を人間のように平等に扱うことができることを」(了)
As a teenager in the 80s, living under the shadow of the bomb, Gorbachev gave us tangible hope that lifted that shadow. He also showed us that it’s possible to have strong ideological convictions and still to treat those with whom you disagree like humans and equals.
— Tim Farron (@timfarron) August 30, 2022
出典元:The Guardian:Mikhail Gorbachev, former Soviet leader, dies – global reaction(8/30)