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失敗した星が“ダーク・マター”で永遠に輝く? 不思議な星が存在する可能性

失敗した星が“ダーク・マター”で永遠に輝く? 不思議な星が存在する可能性
Durham University

存在しているはずだが、誰も確認したことがない宇宙の謎“ダーク・マター”。その謎を解明する、不思議な星が存在する可能性が明らかになった。

 

元は「失敗した星」

 

その不思議な星は元々、ブラウン・ドワーフ(褐色矮星)と呼ばれる「失敗した星」。通常であればサイズが小さすぎて、恒星に必要な核融合反応を維持できず、時間とともに冷えて輝きを失っていく運命だった星だ。

 

ただし、その星が銀河系中心部などのダーク・マターの密集地に存在していたら、ダーク・マターがその星の内側に閉じ込められ、星はダーク・マターのエネルギーによって、安定して永遠と言えるほど長く輝き続ける天体になる可能性があるという。

 

その可能性を秘めた星が、今はダーク・ドワーフ(暗色矮星)と呼ばれている天体だ。他の暗い天体との違いが「リチウム7」の有無だ。リチウム7は燃えやすい元素で、通常の星ではすぐに燃焼して失われてしまう。しかし、通常とは違う輝き方をするダーク・ドワーフであれば、この希少なリチウムが残っている可能性が高い。

 

つまり、ダーク・ドワーフにリチウム7が検出されれば、それは“何か違う存在”の証拠になるということだ。

 

そもそもダーク・マターとは?

 

ダーク・マターとは、見えないけれど宇宙に存在している不思議な物質のこと。光を発したり吸収したりしないため、望遠鏡では直接見ることができないが、重力があり、星や銀河の動きに影響を与えるので存在していることがわかっている。

 

ダーク・マターは、宇宙に存在しているのが分かっているけれど、まだ謎の多い存在だ。NASAによると、宇宙で惑星やブラックホール、銀河など、私たちが理解できているものは宇宙全体の5%に過ぎず、ダーク・マターは宇宙全体の約27%を占めると考えられている。

 

NASAは、ダーク・マターを「星や銀河を“見えない力”でまとめている宇宙の骨格のような存在」と表現している。

 

ダーク・マター解明のカギに

 

これらは、イギリスの名門校であるダラム大学が、ハワイ大学、リバプール大学との共同研究で明らかにしたもの。ダーク・ドワーフの存在は、ダーク・マターがWIMPと呼ばれる特定の種類の粒子であることが前提とされている。

 

研究共著者であるダラム大学のジュナ・クルーン博士は、「ダーク・ドワーフを発見できれば、ダーク・マターの粒子的性質に関する唯一無二の洞察が得られるでしょう」とコメントしている。

 

高精度の望遠鏡でもダーク・マターを検出することはできないが、ダーク・ドワーフなら検出できるかもしれないと、研究チームは考えている。

 

永遠に輝く“失敗した星”がたったひとつでも見つかれば、長年謎に包まれてきたダーク・マター解明へ向けた大きな前進となるかもしれない。(了)

 

参考:Durham University「Mysterious ‘Dark Dwarfs’ may be hiding at the heart of the Milky Way」(7/9)

参考:ScienceDaily「These Mysterious Stars Could Glow Forever Using Dark Matter」(7/13)

参考:NASA Space Place「What Is Dark Matter?

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