結婚生活の“質”は遺伝子によって決まる?海外メディアが驚きの研究を明らかに
好き同士で交際をスタートさせたにも関わらず、なぜかいつも順調なお付き合いができない、さらには結婚まで漕ぎつけたのに関係が破綻してしまった…などというお悩みを抱える人は多いのではないだろうか。
もしかしたらその原因は、あなたかお相手の“遺伝子”にあるのかもしれない。
そんな驚きの見解が、海外のウェブメディア「The Conversation」に掲載され、波紋を広げている。
双子の結婚生活の“質”が似通っていることを示す研究
お互い恋愛感情を抱き交際をスタートさせたにも関わらず、なんだかいつもすぐにうまくいかなくなってしまい、数カ月から一年ほどの短期間で別れてしまう、という人がいる一方、一度付き合い始めると長く交際を続けることができ、さらには結婚生活もスムーズに送ることができる、という人もいる。
記事中ではこれについて、遺伝子的に同一である双子において、結婚生活の“質”が総じて似通っていることが複数の研究において示されていることを指摘。
この理由として、特定の遺伝子が結婚生活の質を維持させるのに貢献しているのではないか、という仮説を提示している。
研究対象として狙いを定めたのは“愛のホルモン”
この仮説を証明するため、科学者で心理学者でもある記事の執筆者Richard E Mattson氏は研究を開始。
中でもMattson氏が研究対象として狙いを定めたのは、“オキシトシン”と呼ばれるホルモンの受容体となる遺伝子だ。
“オキシトシン”とは分娩時の子宮収縮や乳の分泌を促す作用などを持つホルモンである一方、時に“愛のホルモン”と呼ばれることもあり、愛情を感じるのに重要な役割を果たしているとみられている。
例えば、子供の出生時における母親や、セックスの最中には大量の“オキシトシン”が分泌されるという。
また“オキシトシン”は女性のみならず、男性にも存在するホルモンであるとのことだ。
支援に対する反応や共感にも影響を及ぼす“オキシトシン”
それだけではない。
“オキシトシン”が人の感情面において役割を果たすのは、男女の恋愛にまつわることのみではなく、“オキシトシン”とその受容体(OXTRと呼ばれる)は信頼感や社交性といった人の社会行動に関わる様々な事象においても、関連していると考えられているという。
さらにOXTR受容体遺伝子は他人から与えられる支援に対する心理的反応や、人を支援する際に重要となる共感といった個々の性格にも関連していると考えられているとのこと。
一方結婚の“質”を決定づける大きな要因としては、双方に対するサポートの存在が挙げられる。
したがって、OXTR遺伝子はパートナーがどのように相手をサポートするのかということに影響を及ぼすことにより、結婚生活の“質”にも強く関わってくる可能性が高いということだ。
科学者や心理学者らの協力の下、79組のカップルを調査
これらを鑑み、Mattson氏は科学者や結婚に関して研究を行う心理学者、さらには遺伝子学者や“オキシトシン”を専門とする神経内分泌学者らと組み、OXTR遺伝子が人の交際や結婚に与える影響についての研究を始める。
Mattson氏らのチームは、まず研究にあたり79組もの夫妻をリクルート。
結婚とは直接関係のない質問をそれぞれにすることで、個人が抱える重要な問題を洗い出し、パートナーとの間でそれに関して10分間ほど議論をさせる。
この議論は録音され、問題解決や積極的に相手の話を聞く姿勢といった要素ごとに点数化。それぞれのパートナーがどのようにして相手に“ポジティブ”なサポートを頼み、提供したかということに従って分類されたという。
さらにパートナー同士で意思疎通が行われた際に受け取った、サポートの“質”の感覚的な評価といったものを含める幾つかの質問項目については、パートナーはそれぞれ別に回答。
また唾液のサンプルをも収集し、それぞれがどのOXTR遺伝子を持つのかということについても調査が行われたという。
特定の遺伝子を持つ夫は妻のサポートの“質”が低いと感じる?
この研究の結果、OXTR遺伝子において“rs1042778”と呼ばれる特定の位置に“T対立遺伝子”と呼ばれる遺伝子のコピーを2つ持つ夫は、パートナーのサポートの“質”が低いと感じることが判明したという。またこの際、パートナーのサポートスキルが高いか低いかということは関係ないとのことだ。
これはつまりTT型の遺伝子型を持つ夫は、妻の行動が夫を支えるものだということを解釈するのが非常に困難であるということを意味する。
またこの研究結果は、この遺伝子型を持つ人が社会的認知における障害や自閉症などを抱えることがあるという他の研究結果とも矛盾しないものであるとのことだ。
一方、Mattson氏は結婚生活や男女の交際に関係のあるとみられる遺伝子は、他にも存在することを指摘している。
そのため上記した遺伝子型を持つ人であっても、結婚生活を円満に送る人も存在するかもしれないし、あるいはそのような遺伝子型を持たずとも結婚生活や交際がうまくいかない、という人もいるだろう。
Mattson氏によって提示された今回の興味深い研究結果。
その真偽を信じるか否かはさておき、結婚生活がどうしてもうまくいかないと悩む人はこの際遺伝子のせいだときっぱり諦めて、これまでとは別のアプローチでパートナーとの関係を向上させる努力を始めてみてもよいかもしれない。(了)
出典:The Conversation:How your genes could affect the quality of your marriage (2/8)