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二酸化炭素を燃料に変換できる「人工の葉」を開発:ウォータールー大学

二酸化炭素を燃料に変換できる「人工の葉」を開発:ウォータールー大学
flickr_Tony Austin

二酸化炭素を代替燃料に変換させる「人工の葉」が開発され、研究論文が科学誌「Nature Energy」において発表された。

 

メタノールと酸素を生み出す

 

この研究開発を率いたのは、カナダのオンタリオ州にあるウォータールー大学・工学部のYimin Wu助教授だ。

 

大学が発表したリリースによればこの技術は、植物が二酸化炭素を食べ物に変えるために、太陽からのエネルギー使う方法に着想を得たものだという。

 

Wu助教授は次のように語っている。

 

「私たちはこれを『人工の葉』と呼んでいます。なぜなら、それは本物の葉や光合成のプロセスを真似ているからです。葉っぱはグルコースと酸素を生み出します。私たちは(この葉を使い)メタノールと酸素を生み出すのです」

 

University of Waterloo

温室効果ガスを減らす

 

二酸化炭素からメタノールを作ることは、温室効果ガスの排出を減らし、それらを生み出す化石燃料の代替物を提供することになるため、気候変動問題の解決に役立つ可能性があるという。

 

このプロセスの鍵となるのは、低コストで最適化された酸化銅と呼ばれる赤いパウダーを使うこと。

 

このパウダーはグルコースと酢酸銅、水酸化ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムといった4つの物質が、ある一定の温度に熱せられた水の中に加えられた時に起きる化学反応によって作られるという。

 

その後、パウダーが水の中で混ぜられた時に、二酸化炭素が飛ばされ、人工太陽光源からの白色光の光線に直接さらされてもう一つの化学反応が起きるのだが、このパウダーはその時にトリガー、または触媒として役に立つという。

 

そしてこの化学反応により、光合成の時と同じように酸素が生み出され、同時に二酸化炭素がメタノールへと変換する。

 

そしてメタノールは熱せられて蒸発する時に回収されるという。

 

Wu助教授は2015年からこのプロジェクトに取り組み、この化学反応を発見。これは今まで誰も成し得なかったことだとされている。

 

University of Waterloo

目標は大量に生産すること

 

この研究の次のステップは、メタノールの生産量を増やすこと。そして発電所や車、油田掘削などで排出される温室効果ガスから回収された二酸化炭素を変換させる方法を、商業化することだとか。

 

その上でWu助教授は次のように語っている。

 

「気候変動は緊急の問題です。私たちは二酸化炭素を減らすことができ、代替燃料を作り出すこともできるのです」(了)

 

 

出典元:University of Waterloo:Scientists create ‘artificial leaf’ that turns carbon dioxide into fuel(11/4)

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