3人の実子を殺害した母親になぜ「擁護」の声? 95万ドル超の募金、米国各地で支援集会も

3人の実子を殺害したとして、第一級殺人罪などで起訴されているリンジー・クランシー被告(36)。今、彼女への擁護や支援の声が高まっている。その背景には何があるのだろうか。
夫の外出中に心中未遂か
事件が起きたのは2023年1月、マサチューセッツ州ダクスベリーにあるクランシー被告の自宅でのこと。母親であるリンジーは、夫が夕食と子供の薬を買うため外出した間に5歳のコーラちゃん、3歳のドーソン君、8ヵ月のカランちゃんを自宅地下にて運動用バンドで絞殺した。
被告はその後、自傷行為の後で2階窓から飛び降りて負傷。その後遺症により、現在も車イスを使用している。夫が帰宅した際、被告は屋外で負傷した状態で発見され、子供たちは地下で死亡していた。
裁判では、被告の母親や姉が証言し、2022年後半から被告が「子供を傷つける考えがある」と家族に伝えていたことが明らかになっている。被告は事件前の約4カ月間に、複数の医療提供者から13種類の精神科薬を処方されており、睡眠障害や不安、幻覚などの症状が続いていたとされる。
産後精神病をめぐる議論
被告は「心神喪失(insanity)」を理由に刑事責任を問えないと主張しており、弁護側は事件当時、産後精神病(postpartum psychosis)や双極性障害などの重い精神疾患によって、行為を法律に従って制御する能力を失っていたと訴えている。一方、検察側は、犯行は計画的かつ意図的であったとし、被告の精神状態が刑事責任を免れる理由にはならないと主張している。
産後精神病は、出産後の女性にまれに発症する重篤な精神疾患で、幻覚や妄想、現実感の喪失などを伴う。専門家は、被告が「自分ではないようだ」と家族に訴えていたことや、幻覚・妄想がみられた点を指摘している。
裁判では、法医学心理学者のポール・ザイゼル氏が「被告は行為の違法性を理解したり、法律に従って行動を抑制したりする能力を失っていた」と証言。産後精神病などの診断を支持した。
また、夫のパトリックも現在の裁判で、事件前から被告が不安や睡眠障害、自殺念慮、子供を傷つけてしまうことへの恐怖を訴えていたと証言。Lindsayの精神状態が悪化していたことを示した。
支援者による集会の広がり
裁判が進む中、被告を支援する集会「Stand In Peace for Lindsay」が米国内各地、さらにはオランダなど海外でも予定されている。参加者はピンク色の服を着て手をつなぎ、沈黙の中で被告への「平和的な支援」を示すことを呼びかけている。
メインの集会は8月20日午前7時45分に裁判所前で予定され、ニューヨーク、フェニックス、フォートワース、オランダなどでも告知されている。
被告の両親を支援する募金活動
支援の輪は、被告の両親であるマイケル・マスグローブ氏とポーラ・マスグローブ氏にも広がっている。両親はコネチカット州からマサチューセッツ州へ移住し、3年以上にわたり裁判に付き添っており、旅費や生活費の負担が増しているという。
GoFundMeでは「The Musgrove Family Fund」が8月11日に立ち上げられ、8月20日時点で95万ドル(約1億5,000万円)以上の寄付が集まっている。
現在のリンジー支持・同情の広がりを象徴するものの一つだが、募金は両親が直接受け取るもので、被告本人には渡らない。
重度の産後精神病に陥り、適切な治療を受けられなかった女性として擁護の声が上がっているリンジー・クランシー被告。裁判の行方に、多くの注目が集まっている。(了)
出典元:AP通信:Lindsay Clancy goes on trial over whether postpartum psychosis drove her to kill her 3 children(7/28)
出典元:ABC News:Lindsay Clancy trial: What to know about the testimony, postpartum psychosis and more(7/31)
出典元:CT Insider:Lindsay Clancy supporters plan rallies across the US and as far as the Netherlands(8/18)
出典元:GoFundMe:The Musgrove Family Fund(8/11)

























