将来は週休3日制?英国労組が今後目指すべき目標として掲げ、注目を集める
英国で、将来的に週休3日制度の導入を目指すべきであるとの見解が示され、注目を集めている。
労組が今世紀に獲得すべき目標!
週休3日制度導入を目指すべきであるとするのは、英国の労働組合の9割以上が加盟するという組織、労働組合会議(Trades Union Congress)だ。
今月10日、同組織の総書記を務めるFrances O’Grady氏は、マンチェスターで開催された今年で150周年となる組織の年次会合において演説。
技術とコミュニケーションの発展は、職場における労働時間を何時間も削減させることが可能であるとしていた。
O’Grady氏は過去の労働組合の闘争について、「19世紀に労働組合は、一日8時間労働のために運動を行った。20世紀には、我々は週休二日制と有給休暇を勝ち取った」と言及。
さらに氏は21世紀にも、かつてのような高い目標を掲げるべきであると鼓舞した上で、「今世紀に我々は、週4日労働と全ての人々への適切な賃金を勝ち取ることができると信じている」としている。
「新しい技術による富をトップに君臨する人々が確保するのを許すのではなく、今こそそれを共有すべき時だ」
なぜ週休3日制を目指す必要があるのか?
労働組合会議が発表した報告書によると、英国では330万人以上もの人が週に45時間以上働いており、さらに140万人以上もの人は週に7日間の労働を強いられているという。
この45時間以上という数字は日本ではごく当たり前だが、同報告書では、戦後の経済学者の中に週15時間労働をする日が訪れることを示唆する者もいたとしている。
今回の同組織が掲げた週休3日制の獲得という目標は、そんなところからもきているようだ。
一方レポートは、新たな技術が人にさらなる重労働を強いる恐れをもたらしていることを前置きした上で、「一部の人々にとって、オンデマンドエコノミーはこれまでにないほど短い複数の作業時間で働くことを意味する」と指摘。
「これは出来高制への回帰であり、常に勤務が可能であることを、働く人は要求されるという文化を創り出している」としている。
同組織はこのような問題の背景の一部としては、Amazonのような企業があるとする。
労働組合会議によると、Amazonの倉庫で働く人々は“ロボットのような”扱いを受けており、勤務中に体調を崩し医療行為を受けることもあるという。
O’Grady氏はこの問題について「ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏がAmazonを所有し、今や同社は1兆ドル規模だ」とAmazonを名指し。
「彼が10億もの大金を獲得する一方で、彼の労働者は仕事の疲れにより衰弱しきっている。我々は英国のAmazonの倉庫から始まり、全ての職場へと踏み込む権利を持つ強力な労働組合を必要としている」とし、Amazon社を糾弾している。
日本においても長時間労働を強いられ体調を崩す労働者は数多く存在するが、そんな人でも週休3日制であれば体を壊すことなく働くことが十分すぎるほど可能なはずだ。
今までにも唱えられてきた週休3日制
一方週休3日制が唱えられるのは、今回が初めてのことではない。
ヴァージン・グループの創設者として知られる英国人実業家リチャード・ブランソン(Richard Branson)氏も、そんな論を唱える一人だ。
ブランソン氏は、技術の進歩向上は雇用主に従来の週5日労働制を再考させる可能性があることを指摘。
働く人の中には週休3日制や、さらには週休4日制を望む人がいることを指摘しつつ、より効果的に働くことで労働時間を短縮させることが可能であるとしている。
「新しい技術が発展するにつれ、人々はより豊かになるべきだ」とも語るO’Grady氏。
週休3日制とは、長時間労働が当たり前となってしまっている日本の現状を鑑みると、夢のまた夢のような話に思えてしまう。
しかしもしそれが本当に叶い、さらに豊かな生活ができるのであれば、それ以上のことはないだろう。(了)
出典:The Guardian:Four-day working week for all is a realistic goal this century, unions say (9/10)
出典:CNBC:Tech advances should make 4-day workweek a reality for the 21st century, says labor expert(9/10)