イタリア·カラブリア州の町長が、病気になることを禁止する法令を制定
イタリア南部の小さな町に、とても無理だろうと思える法令が制定された。それは「病気になることを禁止する」というものだ。
病気になるべからず
イタリア·カラブリア州にある、人口1300人ほどの小さな村ベルカストロ。そこの市長であるAntonio Torchia氏は、1月5日、法令によって病気を禁止した。
もちろん、禁止したからといって、町から病気がなくなるはずはない。ではなぜ、Torchia市長はそんな法令を正式に発したのだろうか? 市長自身に言わせると、これは「皮肉をこめた挑発」なのだそう。イタリアの現在の医療制度には重大な欠陥がある。そこに世間の注目を集めることが、目的だという。
緊急医療が行き届かない町
医療機関のスタッフが圧倒的に不足しているベルカストロでは、町民が緊急医療サービスを受けられることは稀だ。
そのため、今回の法令は、次のような条項が中心になっている。
(町民は)医療の介入、その中でも特に緊急医療の介入を必要とするいかなる病気にもかかることを避け、できる限りの休息をとること。
他に、大きな怪我をする可能性のある運動や活動を禁じる、という条項もある。
Torchia市長は以前から町の医療の現状を憂慮し、昨年6月から、州の保健局と県庁に内容証明Eメールを何通も送った。しかし、何の返事も得られなかったという。
このまま保健局や県が動かず、何の進展もないとなれば、市長は検察庁に正式な苦情申し立てをするつもりでいる。具体的には、検察庁に調査を要請し、「公権力当局がベルカストロの医療サービスを妨害している」ことを明らかにしてもらおうと考えている。
病気を禁止する今回の奇妙な法令は、別角度から問題解決にアプローチしたものだった。幸いにも予想以上に社会の注目が集まっており、関係当局が動かざるを得ないことになるだろうと、市長は期待している。(了)
出典元:Metro:An entire town has been banned from getting sick(1/8)
出典元:UPI:Italian mayor’s proclamation makes it illegal to get sick(1/7)