ゼレンスキー大統領、トランプ政権下での和平に建設的に取り組むと発言

アメリカ政府は3月3日、ウクライナへの武器支援を一時停止すると発表したが、その後ゼレンスキー大統領は自らの和平案を提案した。
和平に建設的に取り組む姿勢を強調
ウクライナのゼレンスキー大統領は3月4日、SNSにおいて、トランプ大統領の「強力なリーダーシップ」の下で、和平に「建設的に」取り組み、ウクライナの鉱物資源へのアクセスを認める協定に署名する用意があると述べた
そのためにも「できるだけ早く交渉のテーブルに着く用意がある」とし、「ウクライナの平和への取り組みを改めて表明したい」と述べ、自らの和平案を提案した。
ゼレンスキー氏はまず、和平の第1段階として捕虜の交換や、インフラ攻撃に使用されるミサイルやドローンの使用禁止を挙げた。また攻撃禁止は「海」にも適用される可能性があると示唆した。
以前、フランスのマクロン大統領は、ロシアが停戦を守るかを確認するため、双方が海や空での交戦やエネルギー施設への攻撃を停止する停戦案を提案したが、ゼレンスキー氏の案もこれに近いものと考えられる。
I would like to reiterate Ukraine’s commitment to peace.
None of us wants an endless war. Ukraine is ready to come to the negotiating table as soon as possible to bring lasting peace closer. Nobody wants peace more than Ukrainians. My team and I stand ready to work under…
— Volodymyr Zelenskyy / Володимир Зеленський (@ZelenskyyUa) March 4, 2025
「鉱物協定に署名する用意がある」
またゼレンスキー氏は、2月28日のホワイトハウスでの会談について、「予定通りにはいかなかった」と認めた上で、「このような結果になったのは残念だ。今こそ事態を正すべき時だ。今後の協力とコミュニケーションが、建設的なものになることを望んでいる」と述べた。
さらにトランプ大統領が1期目の2017年に、ウクライナへ対戦車ミサイル「ジャベリン」を供与したことにも触れ、「ウクライナの主権と独立維持のために、アメリカがどれだけ尽力してくれたかを、我々は本当に高く評価している」と感謝の言葉を述べた。
一方、アメリカも鉱物協定には関心があるらしく、J・D・バンス副大統領は3月4日、協定にまだ希望があると思うかとの記者からの質問に対し、「もちろんそう思う」と答えたという。
さらに「大統領は依然として鉱物協定にコミットしていると思う。いくつか前向きな話は聞いているが、もちろんウクライナにいる友人たちからの署名は、まだない」と語った。
ゼレンスキー大統領も「いつでも、どんな都合のよい形式でも、鉱物協定に署名する用意がある」とし、「我々はこの合意を、より安全で強固な安全保障への一歩と見ており、それが効果的に機能することを心から願っている」とSNSに投稿した。
アメリカ議会の下院議長であるマイク・ジョンソン氏も「ゼレンスキー大統領が結局この取引をしたいと示唆したことに勇気づけられている。私はそれが実現することを強く勧める。ゼレンスキー大統領は先週起きたこと、つまり大統領執務室での衝撃的な展開を正す必要がある。もしそうするなら、関係者全員にとって良いシナリオになると思う」と述べたという。
米の軍事支援停止について各国の反応
トランプ大統領がウクライナへ軍事支援を一時停止したことを受け、ロシアのペスコフ報道官は「平和に向けた最善のステップだ」として歓迎。「アメリカが、これまでのところこの戦争(武器)の主な供給国だった」と述べた。
一方、ポーランドのトゥスク首相は閣議で、「ヨーロッパは、安全保障に関しては過去数十年で、前例のないリスクに直面している」と発言。
「アメリカがウクライナに対する軍事援助を停止し、ロシアに対する制裁を解除し始めるという決定が発表された。これによりヨーロッパやウクライナ、ポーランドはより困難な状況に陥る」との見方を示した
またフランスのジャン=ノエル・バロ外相は、「ウクライナが、ヨーロッパとフランスにとっての第一防衛線」であるとし、「ヨーロッパがアメリカの武器への依存を断つ時が来た」と述べたという。
フランスのフランソワ・バイル首相は議会において、戦時中に武器支援を停止するというアメリカの決定について、「ウクライナを見捨てて侵略者(ロシア)に勝たせていることを示している」と発言。「同盟国と思っていた国から来たものが、考えていたより、危険であるのを、我々は目にしている」と語った。
ドイツのアンナレーナ・ベアボック外相も、「力による平和のために今、必要なのは2つだ。我々の自由を守っているウクライナへの追加援助(軍事的および財政的)。そして、EU防衛を強化するための飛躍的進歩だ」と発言した。
EUの首脳は3月6日に会合を開き、欧州委員会が提示した、ヨーロッパの防衛産業を強化し、軍事力を高め、ウクライナへの緊急軍事支援を行うための5部構成の8000億ユーロ(約127兆円)の計画について、話し合う予定となっている。(了)
出典元:The Guardian:Zelenskyy says he will work under Trump’s leadership as he proposes Ukraine peace plan(3/4)