地球の微生物が土星の衛星でも生存できる可能性、模擬環境で実験

科学者が、土星の衛星「エンケラドゥス」にある海の環境を再現し、地球の微生物でも生き延びられる可能性を突き止めた。
「エンケラドゥス」の地下にある海を再現
直径約480kmの氷の球体である「エンケラドゥス」には、凍った地殻の下に巨大な塩水の海が存在し、海底には熱水噴出孔が点在しており、周囲の海水を温めていると考えられている。
そしてドイツのルートヴィヒ・マクシミリアン大学の地球微生物学教授、ウィリアム・オルシ氏らは、「エンケラドゥス」の海を実験室で再現することに成功。
さらに日本と台湾の間にある、沖縄トラフの深海熱水噴出孔付近で発見された微生物に着目。これらが模擬環境の中で、生き延びられるのかをテストしたという。
その結果、この微生物が「エンケラドゥス」の過酷な環境にも、耐えられることが明らかにされた。
強いアルカリ性の模擬環境でも成長
研究者たちは、水に塩と炭酸塩を加え、粉末状の岩石を混ぜることで、アルカリ性の高い海の環境だけでなく、水と岩石質の海底との間で起こる、重要な反応も再現することに成功したという。
実際に岩石と水の反応は活発で、水素が発生し始め、これは「エンケラドゥス」の海で起こっているプロセスと同じと考えられている。
またこの微生物は、海底の熱水噴出孔付近で水素と二酸化炭素をメタンに変換して繁殖するが、pHが11というはるかにアルカリ性の高い模擬環境下でも成長。さらに微生物は、水中の二酸化炭素濃度が低い状況にも適応できるよう、代謝を変化させたという。
オルシ氏は、「今回の実験結果は、この生物、あるいはそれに類似した生物がエンケラドゥスに存在していた場合、生存できる可能性が高いことを示唆しています」と述べている。
生存できたのは、わずか数日
しかし、実験は数日で終了されたため、オルシ氏も仮に同様の微生物が「エンケラドゥス」で発生していたとしても、このようなメタン生成微生物が繁殖できるかどうかは不明だとし、次のように述べている。
「1年間、生き延びられるだろうか?100万年間、生き延びられるだろうか?それは分からない」

「エンケラドゥス」からは水蒸気と氷の粒が噴出しているのが確認されており、昨年、科学者たちは、カッシーニ探査機が噴煙の中を通過した際に採取したサンプルから、有機物を発見している。
今回の研究は9月25日、科学誌「Science Advances」において発表された。(了)
訂正:当初は「この微生物が生存できたのは、わずか数日とされ」と表記しましたが、「実験が数日で終了した」の間違いでした。お詫びし、訂正させていただきます。
出典元:The Guardian:Earth microbes survive simulated conditions of Saturn moon’s ocean(9/25)


























