鳥がプレーリードッグの鳴き声を利用し、捕食者から身を守る

鳥たちが天敵から身を守るために、プレーリードッグを利用しているとする、新たな研究結果が発表された。
鳴き声を変化させるプレーリードッグ
主に北米に生息しているプレーリードッグは、捕食者の存在を知らせるためにお互いに吠えるが、脅威が空中からか、地上から近づいてくるかによって、鳴き声が変化するという。
そして6月12日に、動物行動学誌「Animal Behavior」に掲載された研究では、ダイシャクシギもこの鳴き声の変化を利用し、捕食者から身を守っていることが指摘された。
この研究に携わった、モンタナ州(アメリカ)にあるスミソニアン国立動物園・保全生物学研究所の生態学者、アンディ・ボイス氏も次のように述べている。
「プレーリードッグは、イヌワシ、アカオノスリ、キツネ、アナグマ、さらには大型のヘビなど、考えられるほぼすべての捕食動物の餌食になっています。これらの捕食者は、ダイシャクシギ(long-billed curlew)などの草原に巣を作る鳥も喜んで食べるため、鳥たちは適応したのです」
声を聞くと身をかがめ、草原に溶け合う
これまでの研究では、鳥が他の鳥類の鳴き声を頻繁に盗み聞きして、餌や危険に関する情報を得ていることが示されているという。
しかし鳥が哺乳類を利用する例は、まだ研究がされておらず、科学者によってわずかしか記録されていない。
プレーリードッグは、特に広大なアメリカの平原で、地下に何キロも続く巣穴を作り、大規模なコロニーで生活している。彼らは互いの鳴き声を聞くと、警戒して見張るか、巣穴に飛び込む。
しかしその鳴き声はかなり大きく、遠くまで聞こえることがあるそうだ。そしてダイシャクシギ(long-billed curlew)は、そのプレーリードッグの声を聞くと、頭やくちばし、そして腹を地面に押し付け、しゃがんだ姿勢となり、羽毛がカモフラージュ効果を生み、平原で相手から見えにくくするという。
アナグマの剥製を使って実験
研究者たちは、剥製のアナグマをリモコン操作の乗り物に縛り付け、モンタナ州北中部の草原で、ダイシャクシギの巣に向かって転がした。
時には録音されたプレーリードッグの鳴き声を流し、時には全く流さず、巣に近づけたそうだ。
その結果、プレーリードッグの鳴き声を流した場合、ダイシャクシギはアナグマが巣まで約50メートルに近づくと素早く草むらに隠れ、鳴き声を流さなかった場合は、しばらく隠れず、約16メートルに近づいた時に、やっと隠れたという。(了)
出典元:The Guardian:Crafty curlews: birds eavesdrop on prairie dog calls to evade predators(6/12)