ジョージ・フロイド事件には、黒人の血を引く警官も関わっていた!
世界的な「Black Lives Matter」運動の引き金となった、黒人のジョージ・フロイドさん殺害事件。それに関わった1人の警官の素性が明らかになった。
フロイドさんの背中を押さえていた
その警官とはミネアポリス警察に所属していた、J. Alexander Kueng被告(26)。事件当時、彼はDerek Chauvin被告とともに、フロイドさんの背中を押さえつけていた人物とされている。
事件は5月25日に起きたが、その日は彼がミネアポリス警察の正式なメンバーとして勤務を開始して、わずか3日目だったという。
Kueng被告はその後免職になり、フロイドさんの殺害に関わった罪で起訴されたが、警察官になって日が浅かったことなどを考慮されて、6月19日に保釈された。
J. Alexander Kueng, one of the 4 ex officers involved in the death of #GeorgeFloyd has been spotted at a grocery store in Minnesota. Keung is out of jail on a $750,000 bond. 👀😳 #RIPGeorgeFloyd pic.twitter.com/ZON20d9kp1
— WORLDSTARHIPHOP (@WORLDSTAR) June 21, 2020
「警察を内部から変えようとしていた」
Kueng被告は当初、アジア人と報じられていたが、実は母親は白人で、父親はナイジェリア人とされ、同時に養子として引き取られた黒人の妹弟とともに育てられたという。
そして警察官による黒人住民への虐待を食い止め、組織を内部から変える手助けができると考え、警察に入ることを決意していたそうだ。
白人の母親であるJoni Kuengさん(56)は、New York Timesのインタビューに対して、次のように語っている。
「彼(息子)は言っていました、『内部からそれ(改革)をする必要があると思わないかい?』と。これが、彼が警察官になりたかった理由の一部なのです。そして黒人の警官が組織のトップに立つことで、コミュニティとのギャップの架け橋になろうとし、警察官と黒人コミュニティの間のこれまでの流れ(物語)を変えようとしていたのです。それは(この事件には)お腹を殴られたような痛みを覚えます。『あなたがこの子供を育てたんでしょう、あなたは彼の裏と表を知っているでしょう』と言われます。私たちは人種的に多様な家族です。このように人種的な動機で行われた事件として要約されることは、ただ不可解です」
「私は人種的な会話と距離をおかなければなりませんでした。なぜなら私は家庭では、マイノリティだったからです。人種は、本当は重要ではありません。しかし彼女(娘・息子)にとっては重要なのです。なぜなら彼女たちはアフリカ系アメリカ人だからです」
事件で妹は兄を非難
ジョージ・フロイドさんが亡くなり、全米で黒人差別に抗議する「Black Lives Matter」運動が拡大してから、黒人の妹・Taylorさん(21)とRadianceさん(21)は、兄を含めた4人の警官の逮捕を求めたという。
Radianceさんは取材に対して「彼(兄)が、勤務して3日だったかどうかは、関係ありません。彼は善悪を見分けることができます(できたはずです)」と語っており、その上で兄は黒人として事件を食い止めるよう干渉すべきだったと述べている。
またRadianceさんは現在、苗字(の一部)を変えることを考えており、というのもKueng被告とは今後も関わりたくないと考えているからだ。
家族や友人からも警察に入るのを反対された
幼なじみのDarrow Jonesさんは、Kueng被告は肌の色が明るいため、黒人であること(人種差別の深刻さ)を自分と同じように理解していなかったと主張。数年前にKueng被告とその彼女、そして白人の友人と一緒にユタ州へ出かけた時の出来事について、次のように述べている。
「一度、ユタ州にいった時、(グループで)店の中に入っていきました。文字通り、皆の視線が私たちに向けられました。だから僕は言ったんです。『アレックス、彼らが俺たちを見るのは、お前が(黒人の)俺と一緒にいるからなんだ』とね。(略)警察組織に対して僕たちが根本的に同意できないのは、彼らが悪い人間だと信じているからではないんです。僕は(警察の)システムを完全に一掃し、置き換える必要があると考えています。これは改革と再構築の違いなのです」
Kueng被告は友人や家族から、警察に入ることを批判されていたという。にもかかわらず彼は2019年2月に警察学校に入り、候補生として訓練を受けることに。
それから数カ月後、彼の妹であるTaylorさんが地元の保安官補から疑われ、酷い扱いを受ける出来事が起きる。当時、Kueng被告は自分の妹に対する保安官補の扱いを非難していたという。
やがて2019年12月に警察学校を卒業。その後の実地訓練の監督者(教官)は、フロイドさんの首を膝で押さえつけて殺害した警官、Derek Chauvin被告だったそうだ。(現在解雇されている)
そして5月22日、Kueng被告は正式に警察官として勤務を開始。3日後の5月25日に、フロイドさんの事件が起き、Kueng被告は彼の背中を抑え続け、殺人に加担してしまう。
複数の批評家は「この時に部下の警官が誰も、Chauvin被告の行為を止めようとはしなかった事実は、システム自体が徹底的に見直される必要があったことを示している」と述べている。
Kueng被告は事件後、警察を解雇されると同時に起訴され、6月27日には裁判所へ出廷したという。(了)
出典元:New York Times:The Black Officer Who Detained George Floyd Had Pledged to Fix the Police(6/27)
出典元:MailOnline:Fired black cop charged in George Floyd’s ‘murder’ had hopes to ‘fix’ the police from the inside, say family and friends who describe his arrest as a ‘gut punch’(6/28)