ベルリンが「反差別法」を導入、公的機関による差別を禁止へ
現在、世界各地で反人種差別運動が高まりを見せているが、ドイツのベルリン州では差別を禁止する新たな条例が導入された。
公的機関による人々への差別を禁止
6月11日、ベルリンの州議会はドイツで初めてとなる「反差別法」を可決し、導入することとなった。
この「反差別法」は、警察や公立学校を含む公的機関による、市民への差別を禁ずるというもの。
具体的には「出身」や「肌の色」「性別(ジェンダー)」「宗教」「肉体的・精神的疾患」「世界観」「年齢」「性的アイデンティティ」などで差別することが禁止される。
またこれにより市民は「ドイツ語の能力が不足していても」、「慢性的な病気を抱えていても」または「収入」「学歴」「職業」などによっても差別を受けなくなるという。
もしこれらの条例に違反した場合、市民は損害賠償を求める資格が与えられ、公的機関も差別に関して裁判などで争う機会が得られるそうだ。
従来の連邦法は十分ではなかった
そもそもドイツでは2006年に「一般平等法(General Equal Treatment Act)」といった連邦法が可決されたが、今回のベルリンの条例はその範囲を広げるものになるという。
実際、「一般平等法」では民間での雇用における差別に適用されているが、公的機関の運営にかかわる(公法によって統治された)分野には適用されていない。
またドイツの憲法においても、差別を禁止する文脈が書かれているが、「社会民主党」「緑の党」「左翼党」などの中道左派を中心とした連立与党は、現在の「一般平等法」が機能していないため、法律の隙間を埋める必要があると考えてきたそうだ。
もっとも今回の「反差別法」は、内務大臣や警察組合などからの反発に直面し、当局への(不当な)圧力になると議論を呼んでいたそうだ。
しかしベルリン州の法務大臣や「緑の党」のDirk Behrendt議員などは、この新しい条例は警察の通常業務を邪魔したりはせず、むしろ組織的な人種差別に対処するのに役立つとして擁護したという。(了)
出典元:DW:Berlin passes first German state anti-discrimination law(6/4)