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ティラノサウルスに薄い唇があった可能性、ワニよりもトカゲに似ていた?

ティラノサウルスに薄い唇があった可能性、ワニよりもトカゲに似ていた?
flickr_James St. John

ある研究により、ティラノサウルスの口に、薄い唇があった可能性が示唆された。

 

薄いうろこ状の唇があった可能性

 

専門家によれば、そもそもティラノサウルスのような獣脚類(大型の肉食恐竜)が唇を持たないという認識は、その歯の巨大さと、クロコダイルやアリゲーターといった最も似た歯を持つ近縁種に、唇がないことから生まれたという。

 

しかし、今回の研究では、現在のトカゲのように口を閉じた時、歯が薄いうろこ状の唇に隠されていた可能性が示唆されたそうだ。

 

この研究の共著者である、イギリス・ポーツマス大学のマーク・ウィットン博士は、一般に知られている恐竜の描写は時代遅れであるとし、次のように述べている。

 

「私たちは基本的に、30年前のジュラシック・パークの影に隠れて暮らしているのです。我々は、(従来の)ティラノサウルスのような歯を見せて唇を持たない外観から離れ、よりトカゲのような顔を持つ動物として意識を変える必要があります」

 

歯の摩耗の証拠が見つからず

 

イギリスとアメリカの研究者らは、ティラノサウルス科の「ダスプレトサウルス」の口にある大きな歯(500日以上経過していた)を調べた所、実質的な歯の摩耗の証拠が見つからなかったという。

 

実際、ティラノサウルスの薄いエナメル質は、1年以上も歯を保っているものがあるにもかかわらず、無傷で残っており、この発見は他の獣脚類の歯の研究と一致していたそうだ。

 

一方、アメリカワニの大きな歯は、象牙質層まで摩耗して損傷していることが多い。

 

これについて研究者らは、ワニが唇を持たない動物であるため、歯のエナメル質が露出し、乾燥して耐摩耗性が低下した結果だと考えている。

 

トカゲの顎と同様に神経や血管の穴

 

また、獣脚類の顎には、現在のトカゲの顎と同じように、唇や歯茎に神経や血管を供給するための小さな穴が開いていることも明らかになったという。

 

しかも現在のトカゲの頭蓋骨と歯の相対的な大きさを分析した結果、獣脚類の歯は、唇で覆えないほど大きくはなかったそうだ。ウィットン博士は、次のように述べている。

 

「コモドドラゴンが5フィート(約1.5メートル)の長さの頭蓋骨にスケールアップされた姿を想像すれば、Tレックスのようなものと大差はないでしょう」

 

獣脚類の歯を覆う軟組織は、人間の肉厚でぷっくりした唇と同じ形ではないと考えられているが、同時にオオトカゲと同じくらい多くの唇が歯を覆っていたかについては、まだ仮説の段階に過ぎないようだ。(了)

 

出典元:The Guardian:Tyrannosaurus rex had lips over its teeth, research suggests(3/30)

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