「ティラノサウルス・レックス」に最も近い、恐竜の新種を確認【アメリカ】
アメリカで過去に見つかった恐竜の化石が、「ティラノサウルス・レックス」に近い新種だったことが明らかにされた。
1983年に顎の骨を発見
ニューメキシコ自然史科学博物館の古生物学学芸員、スペンサー・ルーカス氏によれば、その化石は顎の骨で、1983年にニューメキシコ州にあるエレファントビュート貯水池で、ボートに乗った民間人によって発見されたという。
そして発見者が博物館に連絡した後、古生物学者らはさらにその場所を発掘。その結果、恐竜の別の骨も発見され、1990年代の発掘でも、さらに多くの化石を発見したそうだ。
当初、科学者らは、それらの骨が、6600万年~6800万年前の白亜紀後期に存在した「ティラノサウルス・レックス」のものだと判断。しかしその後の20年間の調査によって、完全に新種であることを発見したという。
「ティラノサウルス・マクレイエンシス」
この研究論文は1月11日に、科学誌「Scientific Reports」に掲載され、この新種の恐竜は「ティラノサウルス・マクレイエンシス(Tyrannosaurus mcraeensis)」と名付けられたそうだ。
ニューメキシコ自然史科学博物館のアンソニー・フィオレロ氏によれば、新種のティラノサウルスの顎の全体的な形状は「ティラノサウルス・レックス」に似ているが、異なる重要な要素が2つあるという。
まず、「ティラノサウルス・マクレイエンシス」の顎は、「ティラノサウルス・レックス」の頑丈な下顎に比べてはるかに細く、これは食物の処理方法が異なることを示唆しているそうだ。
またもう一つの違いは、突出した鼻梁や眼窩後骨、目の周りの骨にあり、これはかなり重要な生物学的違いとされ、この種がどのようにメスを引き寄せたかに関係している可能性があるという。
また更なる研究により、「ティラノサウルス・マクレイエンシス」は「レックス」よりも500万年ほど古く、7000万年から7300万年前に存在していたことが示されたそうだ。
科学者らは、「ティラノサウルス・マクレイエンシス」が「レックス」の先祖である可能性があるかどうか、も検討しているという。(了)
出典元:ABC News:New dinosaur discovery may be the closest relative to Tyrannosaurus rex, scientists say(1/11)