ガザ地区全域でイスラエル軍が50回も空爆、68人のパレスチナ人が死亡

ガザ地区ではイスラエル軍の空爆が激化しており、特に北部では多数の死傷者が出た。
空爆がガザ地区北部に集中
ガザ地区全域では6月29日だけで、イスラエル軍による空爆が50回も行われ、特に北部のガザ市に集中したという。
イスラエル軍は、住宅や避難民のテント、路上を歩く人々、貯水タンクの周りに集まる人々、あるいは一部の地域で食料を探している人々などを標的にしている。
ガザ地区北部の町、ジャバリアでは住宅を狙ったイスラエル軍の空爆で、少なくとも2人が死亡。またジャバリアにある学校を改装した避難所へも、攻撃が行われた。
ガザ市でも、攻撃された住宅から遺体2体と負傷者3人が収容され、ザイトゥーン地区にある住宅からも多数の遺体が収容されたという。
ガザ市のアル・アハリ病院では搬送された負傷者で溢れかえり、患者が床の上で治療を受けているそうだ。
ガザ地区中部にあるネツァリム回廊付近では、配給センター付近で食料を求めていた群衆にイスラエル軍が発砲し、少なくとも1人の死亡が確認された。
一方、南部のハンユニス東部でも、イスラエル軍による銃撃があり、2人が死亡。ハンユニスのアル・シャエル地区では、殺害された女性の遺体が発見された。
医療関係者によると、6月29日にはイスラエル軍の攻撃により、子供を含めて少なくとも68人が死亡し、また重度の急性栄養失調の症例が、ここ数週間で急増しているという。
またガザ地区の保健当局は29日、過去24時間で88人の遺体と、365人の負傷者が病院へ運ばれたと報告している。
この投稿をInstagramで見る
ネタニヤフ首相が停戦交渉を妨害か
アメリカのトランプ大統領はSNSに、「ガザ地区でディール(取引)せよ。人質を取り戻せ」と投稿し、イスラエルと「ハマス」の双方に対し、停戦を実現させるよう圧力をかけた。
イスラエルのネタニヤフ首相は先週、調停官が60日間の戦闘停止(停戦合意の第一段階の延長)を確保するために、水面下で交渉担当者と絶えず協議していると述べたが、まだ停戦に向けた動きに関して、公式発表はない。
一方、「ハマス」側は、ネタニヤフ首相が交渉を妨害していると非難。「ハマス」の幹部であるMahmoud Mardawi氏は、ネタニヤフ首相が「不可能な条件」を提示し、停戦合意と人質交換の可能性を阻もうとしていると述べた。
またMardawi氏は、ネタニヤフ首相が、人質全員の段階的な解放ではなく、わずか10人のみの解放にこだわっているとし、「彼は合意を望んでいないのだ」と主張した。
ネタニヤフ首相の汚職裁判が延期
「タイムズ・オブ・イスラエル」紙によると、エルサレム地方裁判所は、イスラエルのネタニヤフ首相が「外交および国家安全保障上の問題への対応が必要だ」と申し出たことを受け、今週予定されていた汚職裁判を延期したという。
この地方裁判所の判断は、トランプ大統領が裁判そのものを「政治的魔女狩り」と呼び、「容認しない」と非難した翌日に下された。
イスラエル国会(クネセト)議員は、ネタニヤフ首相がガザ地区での戦闘継続を利用して、汚職裁判を終結させようとしていると非難した。
民主党のクネセト議員、Naama Lazimi氏は、ネタニヤフ首相が「起訴を、政治的解決と戦争終結と引き換えにしようとしている」と非難したという。(了)
出典元:Aljazeera:LIVE: Israel’s attacks on Gaza kill 68, including children and aid seekers(6/29)