国際刑事裁判所の赤根智子所長、「法の支配を守る」ため日本に支援を要請

国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が8月26日、トランプ政権の制裁対象となってから初めて記者会見を行った。
「世界の日本に対する期待は大きい」
赤根所長は26日、オランダのハーグから、日本で行われた記者会見にリモートで出席し、ICC最大の資金提供国である日本に対し、窮地にある裁判所への支援を求め、次のように語った。
「日本は法の支配を、外交関係の柱として据えてきた国であり、それだけに私の日本に対する期待、世界の日本に対する期待は大きいと思っています」
「(また日本には)周辺の国々の中で、ICCに加盟している国をも支援して、彼らが米国の新しいキャンペーンに負けて、(ICCからの)脱退などを決めないよう、そうしたことにも注力していただきたいと思います」
「日本政府にお願いしたいことについて、少し述べておきます。今回の首相や外務大臣からの言葉にもあったように、今後もICCと世界における法の支配を守り抜くために、最大限の努力をしていただきたいし、いただけると信じております」
【署名募集中✏️】
米政権が国際刑事裁判所(#ICC)の #赤根智子 所長らを制裁対象に加えたことを受け、制裁の即時撤回を求める署名を開始しました。ICCは、国際法を維持し、戦争犯罪やジェノサイド、人道に対する罪、侵略犯罪を犯した加害者を追及するために極めて重要な役割を担っています。…
— 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ Human Rights Now (@HRN_friends) August 20, 2026
高市首相の「残念」発言
アメリカのトランプ政権は、2024年にイスラエルのネタニヤフ首相への逮捕状を発行した国際刑事裁判所(ICC)の複数の職員に対し、制裁を科している。
そして今年の8月18日、ICCの赤根所長とアブドゥライエ・セエ上級裁判弁護士に対し、制裁を発動すると発表。ICCを「解体」するための取り組みだと明らかにした。
このアメリカ政府による日本人への制裁発動について、日本の高市首相は当初、「非常に残念(very unfortunate)に思っています」と表現したため、ICCをより強く擁護しなかったとして、野党や人権団体、そして自民党の一部議員からも「弱腰すぎる」との批判を受けた。
そのためか、高市首相は25日、アメリカの制裁発動が「日本政府の立場と相容れず、深刻に受け止めている」と発言を修正した。
欧州、フランス、ドイツもICCを支持
赤根所長らに対する制裁については、ヨーロッパ各国も批判しており、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長も8月19日、SNSに次のように投稿した。
「私と欧州理事会の議長は、ICCの赤根智子所長と、その使命を支える職員らを、断固として支持します。ICC は、世界で最も残虐な犯罪の被害者に、正義をもたらす手助けをしています。この不可欠な活動を遂行するために、その裁判官や職員は、外部からの圧力を受けずに、独立して行動できる必要があります」
.@eucopresident and I stand firmly with the @IntlCrimCourt, President Tomoko Akane and the officials who uphold its mission.
The ICC helps deliver justice to the victims of some of the world’s most horrific crimes.
To carry out this essential work, its judges and officials must…
— Ursula von der Leyen (@vonderleyen) August 19, 2026
またフランス政府も、赤根所長らへの制裁措置に反対を表明。フランス外務省は19日に声明を発表し、「フランスは、国際刑事裁判所(ICC)とその職員、そしてICCを支援する市民社会組織に対する、あらゆる形態の脅迫と強制手段を非難する。フランスは、制裁対象となった裁判官たちへの連帯を表明する」と述べた。
ドイツ外務省も、トランプ政権がICCの赤根所長に制裁を科したことを受け、ICCへの支持を改めて表明した。
米国内でもICCへの攻撃に対する訴訟
一方、アメリカ国内でもICCへの制裁については反発も出ており、8月中旬には、4つの人権団体がトランプ政権によるICCへの攻撃に対し、新たな訴訟を起こした。
その人権団体とは、アメリカに拠点を置く「アメリカ・フレンズ奉仕委員会」と「憲法権利センター」、「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」、「オープン・ソサエティ財団」だ。
彼らは、トランプ政権の制裁措置によって、「幅広い人権活動や法律活動を制限せざるを得なくなる」と主張。そして、これは彼らの憲法上の権利、特に言論の自由や適正手続きを受ける権利を侵害するものだと訴えた。
ただトランプ政権は、加盟国に対しICCからの脱退を促す取り組みを強化しており、すでに5カ国のうち、アフリカのチャドや南米のベネズエラが脱退を表明している。
赤根所長は26日の記者会見で、次のように語った。
「ICCは決して負けません。正義は常にこれと対極にあるものに優越する。いや、優越しなければならない。(略)その信念を貫きます。(略)国際法の規則に従って、あるいはそれらが実効的であることを確保するために活動する司法機関は、国際社会における法の支配の重要な一部となっております。ICCに対する制裁は、単にICCのみの問題ではなく、まさに法の支配の危機として捉えていただきたいと思います」(了)
出典元:Aljazeera:ICC chief urges Japan to counter US pressure on the court(8/26)
出典元:Aljazeera:ICC condemns US sanctions as ‘flagrant attack’ on court’s independence(8/19)
出典元:Aljazeera:Rights groups launch new legal challenge to Trump campaign against ICC(8/11)


























