NY市長選挙の民主党候補、ゾーラン・マムダニ氏に保守派が攻撃

先日、ニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙が行われ、イスラム教徒のゾーラン・マムダニ(Zohran Kwame Mamdani)氏(33)が候補に選ばれたが、保守派の人々が彼を激しく攻撃している。
インド系のイスラム教徒
アメリカ・ニューヨーク市の市長選挙は今年11月に行われる予定で、6月24日には民主党の市長候補を決める投票が行われ、ゾーラン・マムダニ氏が選ばれた。
マムダニ氏はインド系のイスラム教徒で、ニューヨーク州の議員を務めており、民主社会主義者として進歩的で左派的な政策を掲げているという。
そもそもニューヨーク市は民主党の強固な地盤とされ、11月の市長選でもマムダニ氏が当選することが有力視されていることから、トランプ政権の幹部や共和党の議員、保守派や極右の活動家が彼を攻撃し続けている。
「ジハード主義者のテロリスト」「共産主義者」
マムダニ氏を標的にする者たちは、彼の移民としての経歴やイスラム教への信仰、そして極端に進歩的な政策を批判しているという。
極右活動家の陰謀論者で、トランプ政権と強い繋がりのあるローラ・ルーマー氏は「X」に「これはニューヨーク市で起きる、もう1つの9.11(同時多発テロ)になるだろう」と投稿。
またニューヨーク市議会のVickie Paladino氏もラジオのインタビューで、マムダニ氏を「ジハード主義者のテロリスト」「共産主義者」と呼び、マムダニ氏に市民権があるにもかかわらず、「国外追放せよ」と述べたそうだ。
ホワイトハウスの副首席補佐官であるスティーブン・ミラー氏も、「ニューヨーク市は、移民をコントロールできない時、社会がどうなるかを示す、これまでで最も明確な警告だ」と批判。トランプ政権の幹部も、このような攻撃に加わっている。
ニューヨーク州選出のエリーズ・ステファニック下院議員は、マムダニ氏を「ハマスのテロリスト同調者」と呼び、トランプ氏の支持者であるマージョリー・テイラー・グリーン下院議員も、AIで生成された「ブルカをまとった自由の女神像」の画像を投稿した。
さらに保守派コメンテーターのマット・ウォルシュ氏は、移民の街として知られるニューヨークは人口の40%が外国生まれであることから、「もはやアメリカの都市ではない」と嘆いたという。
さらにトランプ大統領も6月25日、マムダニ氏を「100%共産主義者の狂人」と呼び、彼の容姿や声を批判した。
複数の殺害予告も届けられる
しかも民主党予備選挙中も、マムダニ氏には「車を爆破する」と脅すボイスメールや、複数の殺害予告が届けられたという。
殺害予告には、イスラエルがレバノンで「ヒズボラ」の構成員を攻撃した際に使用した、爆発性のポケベルに言及したものもあったそうだ。
ニューヨーク市警のヘイトクライム対策班は、これらの脅迫事件を捜査しており、マムダニ氏の選挙陣営も、脅迫に対応するため、ここ数週間で警備を強化している。
このような「イスラム恐怖症」による攻撃は、マムダニ氏自身にも深刻な個人的な打撃を与えており、彼は先週、涙を浮かべながら、次のように述べていた。
「良いイスラム教徒は死んだイスラム教徒だけだというメッセージが、私に届きます。命を脅かされるし、愛する人を脅かされることもあります。私の目標は、常にこの街を住みやすくし、すべてのニューヨーカーが自分らしい街を思い描ける街にすることです」
マムダニ氏は、バスや保育の無償化など低所得者層向けの政策を掲げ、その財源として富裕層や大企業への課税強化を打ち出している。
彼の政策は若者や移民などからの人気を集め、オカシオ=コルテス下院議員など、民主党左派の有力者からも支持を受けているという。(了)
出典元:The Guardian:Mamdani faces barrage of Islamophobic attacks after New York primary success(6/26)