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オランウータンが薬草を使い、傷の治療をしていることが判明

オランウータンが薬草を使い、傷の治療をしていることが判明
YouTube/Dr. Isabelle Laumer

野生のオランウータンが、薬草などを使い、傷の手当をしていることが確認された。

 

傷口に薬草を塗る

 

この調査を行ったのは、ドイツのマックス・プランク動物行動研究所などの研究チームだ。

 

彼らはインドネシアの熱帯雨林保護区において、「ラクス」と呼ばれるオスのスマトラ・オランウータンを追跡・観察したという。

 

ある日、「ラクス」は他のオスとの争いで負傷したらしく、研究者はその顔に、生々しい傷があることを発見した。

 

それから3日後、「ラクス」は蔓植物の一種である「フィブラウレア・ティンクトリア(Fibraurea tinctoria)」の茎や葉を食べていたが、それらを飲み込まずに噛み始め、指を使って口から出た植物の汁を顔の傷に直接塗り始めたという。

 

さらに、すぐ後に傷口全体を噛んだ葉で完全に覆われるまで塗りつけ、その結果5日後には顔の傷が塞がり、数週間以内に小さな傷跡だけを残し、傷口が治っていたそうだ。

 

人間の病気にも使われる植物

 

研究チームによれば、「ラクス」が使った植物には、抗菌、抗炎症、抗真菌、抗酸化、鎮痛、抗発がん性などの特性を持つ物質が含まれているという。

 

またこの植物や、これと関連した植物の種類は、赤痢や糖尿病、マラリアなど、さまざまな人間の病気の治療にも使われているそうだ。

 

このように野生動物が「薬効のある物質」で、開いた傷を治療しているのが観察されたのは、今回が初めてのこととされている。

 

他の動物も治療行為をしていた

 

もっとも、自己治療を行っている野生動物が目撃されたのは、これが初めてではない。過去にはボルネオ・オランウータンが、人間の筋肉痛の治療に使用する植物を噛み、その葉を腕や足にこすっているのが目撃されている。

 

またチンパンジーが感染症の治療のために植物を噛み、また虫を直接傷口に塗る行為も目撃されているという。

 

しかしチンパンジーの場合、その虫に薬効成分があるかは確認されておらず、「ラクス」の場合は、植物の薬効成分を知っていた可能性がある。

 

ただ、「ラスク」が治療のプロセスを自分で考えたのか、または他のオランウータンから学んだのかは、明らかになっていない。また他の個体でも、このように治療する姿は、まだ目撃されていない。

 

今回の研究の主任著者で、マックス・プランク動物行動研究所に拠点を置くキャロライン・シュプリ博士は、「ラクス」がこの植物を意図的に使用したようだとし、次のように述べている。

 

「これは、ラクスが医学的に有効な植物を使って傷を治療するのに必要な認知能力を、ある程度持っていることを示しています。ただしラクスが、どこまでそれを理解しているのかは、本当にわかりません」(了)

 

出典元:The Guardian:Orangutan seen treating wound with medicinal herb in first for wild animals(5/2)

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