ガザ地区でポリオワクチン接種のため3日間の休戦、イスラエル側が同意
世界保健機関(WHO)によれば、ガザ地区でポリオワクチン接種のため、イスラエル軍が一時的な休戦に同意したという。
少なくとも3日間の戦闘休止
ガザ地区では8月23日、少なくとも1人の乳児が2型ポリオウイルスによって麻痺を起こしたことが、世界保健機関(WHO)によって確認された。
この事例は25年ぶりとされ、ガザ地区の保健当局は7月30日、同地区を「ポリオ流行地域」と宣言。ウイルスの再出現は、イスラエルの10カ月に及ぶ軍事攻勢と、それに伴う医療施設の破壊によるものだと主張した。
そして8月29日、WHOは、ガザ地区でポリオワクチンの接種を実施できるようにするため、イスラエル側が少なくとも3日間の「人道的戦闘休止」に同意したと明らかにした。
10-month-old Abdul Rahman is #Gaza’s first polio case in 25 years—a stark reminder of how war steals futures. WHO & partners are planning a two-round vaccination campaign to protect 640 000 kids.
Every child deserves a healthy future.#HealthForAll pic.twitter.com/8KbdhPuiOA
— World Health Organization (WHO) (@WHO) August 29, 2024
64万人の子供へのワクチン接種を準備
日本の厚生労働省によれば、ポリオ(急性灰白髄炎)とは、脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、ポリオウイルスによって発生する疾病だという。
特に5歳以下の子供がかかることが多く、主に陽性となった人の便を介して感染し、手足の筋肉や呼吸する筋肉等に作用して、麻痺を生じさせることがあるそうだ。
また永続的な後遺症を残すことがあり、特に成人では亡くなる確率も高いと言われている。
そしてWHOはすでにガザ地区で、推定64万人の子供にワクチン接種を行う準備を進めており、同時にイスラエル側と交渉をし続けてきた。
As part of preparations for the upcoming polio campaign in #Gaza, @WHO is training 2180 health workers on polio vaccination.
WHO considers there to be a high risk of spread of this strain within Gaza, and internationally, particularly given the impact the current situation… pic.twitter.com/RhhIEWdDrJ
— WHO in occupied Palestinian territory (@WHOoPt) August 28, 2024
9月1日から戦闘休止、ワクチン接種
WHOによると、ワクチン接種キャンペーンは9月1日からガザ地区中部で3日間続けられ、ワクチン接種中は戦闘休止の時間が設けられるという。
イスラエル側との合意内容では、1日8時間、現地時間の午前6時から午後3時までの間、戦闘が休止になるそうだ。また3日後も、人道的な戦闘休止が続けられる可能性があると言われている。
ただイスラエル側は、アメリカが提案したガザ地区での停戦交渉にも積極的ではなく、むしろ条件を増やして交渉のハードルを引き上げており、戦闘の継続を望む姿勢を示している。
ガザ地区北部で15人が死亡
ガザ地区では8月29日にも、イスラエル軍による攻撃が続けられており、北部のガザ市では夜明け以来、複数の地域を狙った空爆で15人のパレスチナ人が殺害された。
またガザ地区中部のDeir el-Balahでも複数回の攻撃があり、2人のパレスチナ人の子供が死亡。南部のハンユニスでも、数時間にわたり、イスラエル軍の砲撃が行われているという。
さらにイスラエル軍の「クワッドコプター(ドローン)」による攻撃も続いており、ガザ地区のさまざまな場所で人々が撃たれているそうだ。
ガザ地区の保健当局は29日、過去24時間でパレスチナ人70人が死亡、77人が負傷したと発表。一方、「アルジャジーラ」の現地チームは、30人の死亡を確認したと報告している。
ヨルダン川西岸で18人が殺害される
ヨルダン川西岸地区でも8月28日以来、イスラエル軍による大規模な作戦が進められており、これまでにパレスチナ人18人の死亡が確認されている。
18人のうち、8人はジェニンでイスラエル軍によって殺害され、トゥルカレムで6人、トゥバスでは4人が殺害された。
EU foreign policy chief, Josep Borrell, among those sounding the alarm over Israel’s major assault on the occupied West Bank, amid concern it could be subjected to the same treatment as Gaza. pic.twitter.com/5u1x4N0Zl6
— Al Jazeera English (@AJEnglish) August 29, 2024
一方、イスラエル軍は戦闘員12人を殺害し、10人を逮捕したと発表している。下の動画は、ヘブロン南部で、イスラエル軍がパレスチナ人の家を破壊する様子。
Umm al-Kheir, South Hebron hills. Israel demolishes home of family of 17, including 11 minors as part of the apartheid regime’s efforts to expel Palestinian communities in the west bank.
These demolitions are carried out by Israeli forces, using tools made by int’l companies pic.twitter.com/fB9ncFt1Ip— B’Tselem בצלם بتسيلم (@btselem) August 29, 2024
イエメンの反政府勢力「フーシ派」は先週、ギリシャの石油タンカー「MV Sounion」を襲撃したが、29日にはその船を爆破する映像を公開した。
مشاهد اقتحام وإحراق السفينة اليونانية (SOUNION) في البحر الأحمر والتي قامت الشركة المالكة لها بانتهاك قرار حظر الدخول إلى موانئ فلسطين المحتلة. pic.twitter.com/yGKgUNaIuh
— العميد يحيى سريع (@army21ye) August 29, 2024
この攻撃による、タンカーからの原油流出は確認されていない。(了)
出典元:Al Jazeera:Israel’s war on Gaza live: Israel agrees limited ‘pauses’ for vaccinations(8/29)