古代人のDNAを分析、5500年前にペストが蔓延していた痕跡を発見

シベリア南東部にある後期石器時代の墓地から出土した人骨の調査が行われ、当時ペストが狩猟採集民の集落で流行ったことが明らかにされた。
狩猟採集民の歯髄を分析
デンマークやカナダ、イギリスのケンブリッジやロンドンの研究者を含む国際チームは、シベリア南東部のバイカル湖北西、アンガラ川のほとりにある「ウスト・イダ(Ust-Ida)」と呼ばれる墓地から発掘された、複数の人骨の歯髄(神経や血管などを含む組織)に含まれるDNAを分析したという。
この墓は後期石器時代、約5500年前のものと考えられ、そこには数十人の狩猟採集民とその子供たちが埋葬されていたそうだ
そして分析を進めた結果、研究者は歯髄からペスト菌(Yersinia pestis)のDNAを検出。これにより、狩猟採集民の集落がペスト菌の蔓延に襲われたことが示唆された。
また研究者たちは、墓地で発見されたペスト菌(Yersinia pestis)が、重篤な免疫反応を引き起こす可能性のあるスーパー抗原、または毒性タンパク質を保有しており、特に子供の致死率が高かったことも発見した。
多くの子供が死んでいた謎に迫る
実はこの場所にある2つの墓地では、少なくとも3分の2の死者が15歳未満で、亡くなった人々の多くは、兄弟姉妹や他の家族と墓を共有していたという。
そしてなぜ、これほど多くの子供たちが死者の中に含まれていたのかが、長年の謎になっていたそうだ。
今回の研究結果では、アンガラ川沿いにある4つの墓地に埋葬された42人の狩猟採集民のうち、18人(39%)からペスト菌(Yersinia pestis)のDNAが検出されたという。
そして研究者たちは、DNAの劣化が激しいため、感染が見逃されるケースがあることも考慮すると、埋葬された全員がペストで死亡した可能性があると推測している。
狩猟採集民は、おそらくマーモットを解体したり、生で食べたりした後に感染したと考えられ、このような行為は現代でもペストによる死者を出す危険なものになるという。
そして年長の狩猟採集民は過去に疫病に遭遇して生き延び、ある程度の免疫を獲得していた可能性があるが、幼い子供たちは極めて脆弱だったと考えられ、それが多くの子供たちの死に繋がったと推測されている。
ペスト菌が5700年前に出現
研究者たちはまた、科学誌「ネイチャー」に発表した論文の中で、約5500年前に始まった最初のペストの流行と、その400~600年後にも2つの異なる流行があったことを明らかにした。
そしてさらなる研究の結果、ペスト菌(Yersinia pestis)は少なくとも5700年前に出現し、「Yersinia pseudotuberculosis」という祖先菌から分岐したことも明らかになったという。
「Yersinia pseudotuberculosis」は感染すると、腹痛や発熱、下痢、嘔吐を引き起こすと考えられている。
イギリスにおけるペストの最古の証拠は4000年前のもので、イングランド北西部のカンブリアと、南部のサマセットにある青銅器時代の埋葬地で発掘された男女の歯から、ペスト菌の痕跡が発見されているという。(了)
出典元:The Guardian:Ancient DNA provides evidence of earliest known plague outbreak(6/17)

























