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イタリア沖で10代少女26人の遺体を回収、移民船で地中海を渡る途中で死亡

イタリア沖で10代少女26人の遺体を回収、移民船で地中海を渡る途中で死亡
consilium.europa.eu

今月5日、地中海で女性26人の遺体が発見された。アフリカから欧州を目指して海を渡る途中だったとみられているが、イタリア当局は女性たちの死因を調査している。

 

彼女たちはナイジェリアからリビアを経て渡航する中、性的虐待を受け、殺された疑いがあるという。女性の多くは14~18歳の少女だった。

 

52人の子供と90人の女性も乗船していた

 

今回、遺体と共に、375人の移民が救助された。

 

彼らの多くは、ナイジェリア、セネガル、ガーナ、ガンビア、スーダン等、アフリカのサハラ砂漠以南の国出身だった。その中には52人の子供と90人の女性がおり、そのうち8人は妊娠していた。

 

移民たちの多くは、渡航中に密航業者から拷問や性的虐待の暴行を受けているという。

 

国際移住機関(IOM)によると、今年に入りアフリカから欧州に船で到着した移民は約15万人に上る。また、その75%がイタリアにたどり着いている。

IOM

命の危険を冒してまで海を渡る理由とは?

 

移民の多くは母国の貧困や内戦、迫害から逃れる為に欧州を目指す。渡航中に暴行や、命を落とす可能性があるにもかかわらず、海を渡る行為は、我々日本人からすると解せない話である。

 

しかし逆に、そこまでの危険を冒してでも国を離れたいと思うほど、彼らのおかれている状況が危機にさらされている、ともいえる。

 

彼らは、実際に移民として欧州に渡り、自分たちの暮らしよりはるかに恵まれている生活を送っている者たちと接し、話を聞くことにより、次第に欧州への夢、憧れを膨らませていく。

 

しかし、現実は厳しい。イタリアの支援団体によると、渡航にかかる費用は約6,000米ドル(日本円約680,000円)という。

 

彼らにとっては大金を密航業者に支払うのだが、この業者はギャング等の犯罪組織が兼ねており、移民に対する悪行は前述のとおりである。

IOM

移民がイタリアに集中する訳

 

アフリカ大陸とヨーロッパ、その2大陸の間に地中海があるのだが、地図を見ると一番距離が近いのはスペインとモロッコだ。

 

ジブラルタル海峡と呼ばれるこの間はフェリーも就航しており、所要時間は約1時間、モロッコの港から対岸のヨーロッパを目に捉えることができる。

 

以前はこのルートがよく利用されていたが、モロッコ当局の取り締まりが厳しくなり、密航が困難になった。その代わりとなったのがリビアだ。

 

北アフリカの真ん中に位置するリビアは、サハラ砂漠以南から北上してくる移民たちが集まりやすい。また、2011年のアラブの春で、カダフィが失脚してから実質無法状態なため、密航業者のような犯罪組織が横行している。

 

こういった理由から、現在、移民の多くはリビアを出発点としている。そうなると必然的に到着するのはリビアの北に位置するイタリアということになる。

 

また、移民たちは欧州にたどり着いた後、待遇の良いドイツ等の国に移動したいと考えている。リビアからはギリシャも近いが、到着後の西ヨーロッパまでの移動の問題もあり、それが更にイタリアを目指す理由ともなっている。(了)

 

 

参考:BBC:Italy probes deaths of 26 Nigerian women from migrant boats(11/6)

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