名曲「I Will Always Love You」を生んだレジェンド歌手が死去 ドリー・パートンが偉大な理由

米カントリー音楽界を代表する歌手であり、作詞作曲家、俳優、実業家、慈善家としても知られたドリー・パートンが2026年8月25日、80歳で亡くなった。家族の発表によると、ドリーは短期間の癌との闘病を経て、ナッシュビルの病院で家族に見守られながら息を引き取ったとのこと。
世界的な歌姫として知られる一方、ドリーが残したものは音楽だけではない。「レジェンド歌手」という言葉だけでは語り尽くせない、彼女の生き方を見ていこう。
名曲「I Will Always Love You」を生んだ
日本人にもなじみが深い、ドリー・パートンの代表曲が、「I Will Always Love You」だ。ドリー自身が作詞・作曲し、1974年に発表した。
その後、リンダ・ロンシュタットら複数のアーティストがカバーし、1992年にはホイットニー・ヒューストンが映画『ボディガード』で歌ったバージョンが世界的な大ヒットとなっている。
2019年には、音楽界での功績だけでなく、長年にわたる慈善活動も高く評価され、音楽業界の慈善団体「MusiCares」から「Person of the Year」に選ばれている。過去にはポール・マッカートニーやスティーヴィー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーンらも選ばれており、音楽界で権威ある栄誉の一つだ。
マイリー・サイラスとの特別な関係
ドリーとマイリー・サイラスの関係も、彼女の人生を語るうえで欠かせない。
ドリーはマイリー・サイラスの「ゴッドマザー」であり、マイリーの父ビリー・レイ・サイラスとの親交をきっかけに、幼いころからマイリーの人生に深く関わってきた。
マイリーにとってドリーは「Aunt Dolly(ドリーおばさん)」と呼ぶほど身近な存在であり、音楽面でも人生の先輩として大きな影響を与えた。
▼2019年2月8日、「MusiCares Person of the Year」に選ばれたドリー・パートンを称える記念ガラで、「Islands in the Stream」を歌うマイリー・サイラスとショーン・メンデス
Miley singing ‘Islands in the Stream’ directly at Dolly Parton 💔 pic.twitter.com/GhzmLNuM8m
— Miley Official (@MileyCyrusBz) August 26, 2026
2人は単に、家族同然の関係だっただけではない。マイリーが出演していた『ハナ・モンタナ』にもドリーは「ドリーおばさん」として登場したほか、音楽でも「Rainbowland」や「Christmas Is」などで共演している。
パートンのアルバム『Rockstar』では、マイリーの「Wrecking Ball」を2人で新たに録音。2026年1月には、80歳の誕生日を前にパートンが発表した「Light of a Clear Blue Morning」の新バージョンにも、マイリーは参加している。
ドリーの死を受け、マイリーはXにて「ドリーおばさん」を失った悲しみを表明。最後の会話についても振り返りながら、これからも音楽と強さを通じて彼女の遺したものを受け継いでいく決意を示した。
The feeling of losing my Aunt Dolly is beyond what feels right to share. Our most sacred moments were private and they’ll stay there behind the stage, beneath the glamour & between our hearts.
What I KNOW is Dolly would want me to feel it, write a song about it, and then… pic.twitter.com/VFV6MohLto
— Miley Cyrus (@MileyCyrus) August 26, 2026
若者への教育支援や被災地支援にも尽力
ドリーは数々の慈善活動を手掛けてきたが、特に知られているのが子どもたちへの教育支援だ。貧しい家庭に生まれ育った経験を原点に、成功によって得たものを次の世代へ還元し続けた。
1988年に設立したドリーウッド財団は、故郷テネシー州セビア郡の子どもたちが教育上の夢を実現できるよう支援してきた。1990年代初頭には、高校を卒業した場合に500ドルを贈る「Buddy Program」を立ち上げ、この取り組みでは対象となった学年の高校中退率が35%から6%に低下したと財団は説明している。
さらに1995年には、幼い子どもたちに毎月無料で本を届ける「Dolly Parton’s Imagination Library」を開始した。これは父親が読み書きできなかった経験に着想を得たもので、現在では米国、カナダ、英国、オーストラリア、アイルランドへと広がっている。
さらに、ドリーウッド財団は地元高校の卒業生を対象とした奨学金を提供しており、ドリーは子どもたちが自らの夢を実現するための教育機会を支えてきた。
2016年にテネシー州東部を大規模な山火事が襲った際には、「My People Fund」を設立し、家を失った家庭に毎月1000ドルを6カ月間支給。最終的に1200万ドル以上が被災家庭に届けられた。
また、新型コロナウイルスのワクチン研究にも100万ドルを寄付し、その資金はモデルナのワクチン開発につながる研究を支えたことでも知られている。
自らの闘病中も癌と闘う子どもたちを支援
自身も癌と闘う中、晩年まで続けていたのが、癌と闘う子どもたちへの支援だ。
前述した2026年1月に発表した「Light of a Clear Blue Morning」の新バージョンは、収益をヴァンダービルト大学医療センターのモンロー・カレル・ジュニア小児病院における小児癌研究に寄付している。
1977年に発表したこの曲は、もともと困難な時期に希望を求めていたドリーが書いた作品だ。
レジェンド歌手以上の存在だったドリー・パートン
ドリー・パートンは、生涯を通じて3000曲以上を書いたとされており、「Jolene」「9 to 5」「I Will Always Love You」など、世代を超えて残る楽曲を生み出した音楽界のレジェンドだ。80歳で亡くなるまで、音楽、映画、テレビ、ビジネスなど幅広い分野で活動を続けた。
そして成功者に留まらず、自分の才能や影響力を使って、恵まれない子どもたちや病気と闘う人、災害に遭った人、未来を切り開こうとする若者を支援し続けてきたアメリカの“ロールモデル”とも言える存在だ。
そんなドリーの生い立ちや音楽活動を知ることができるのが、2016年に制作されたドキュメンタリー作品「Dolly Parton: Queen of Country」だ。
▼現在YouTubeで無料公開中
また、NETFLIXでは、2019年制作の「ドリー・パートンのハートフル・ソング」が公開されている。これはドリーの名曲にのせた、1話完結のドラマシリーズだ。
ドリー・ファンも、今までドリーを知らなかった人も、この機会にドリーの優しい世界観に触れてみてはいかがだろうか。(了)
出典元:Reuters:Dolly Parton, queen of country music, dies at 80(8/26)
出典元:Reuters:Dolly Parton leaves legacy of literacy, advocacy and charitable giving(8/27)
出典元:Reuters:Miley Cyrus pays tribute to godmother Dolly Parton after singer’s death at 80(8/27)
出典元:Associated Press:Dolly Parton, music star, actor and beloved figure who spanned generations, dies at 80 of cancer(8/27)
出典元:People:Dolly Parton Teams Up with Miley Cyrus, Lainey Wilson, Queen Latifah and Reba McEntire for New Version of a 1977 Hit(1/16)
出典元:Dolly Parton’s Imagination Library:The Dollywood Foundation


























