Switch news

知っておきたい世界のニュース

独自動車メーカー出資の研究グループが、排気ガスのテストで人体実験、サルも利用

独自動車メーカー出資の研究グループが、排気ガスのテストで人体実験、サルも利用
flickr_frankieleon

ドイツの自動車メーカー3社が委託した研究グループが、排気ガスの実験の際に人間やサルに吸引させていたことが明らかとなり、批判を浴びている。

 

「倫理的に正当化できない」

 

英紙Telegraphによれば、フォルクス・ワーゲンやBMW、ダイムラーから出資を受けた研究グループ「運輸部門における環境と健康のヨーロッパ研究グループ(European Research Association for Environment and Health in the Transport Sector:EUGT)」が、ディーゼル車の排気ガスの実験を行った際に、人間を使っていたという。

 

このテストが行われたのは2012年から2015年。ディーゼル車の排気ガスに含まれる物質が発がん性ではないことを証明するため数時間、人間に有害な化学物質を吸引させたそうだ。

 

実は人間以外にも、サルに対して同様のテストも実施しており、これが公開された後に人間への吸引テストが明らかになったとされている。

 

このような実験に対してドイツ国内では衝撃が広がっており、Barbara Hendricks環境大臣は「忌まわしい」と発言。メルケル首相のスポークスマンも声明で次のように述べている。

 

「サルや人間に対するこれらのテストは、どんな形であれ倫理的に正当化できません。多くの人々が感じた憤りは、完全に理解できるものです」

 

19人の男性と6人の女性に吸引させる

 

人間に対するテストでは19人の男性と6人の女性に、異なった濃度の窒素酸化物を数時間にわたって吸引させたという。その後、研究グループは病院において有害な物質の影響について調べたとか。

 

そもそもこれまで自動車業界は、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて環境に優しいと主張していた。

 

しかし窒素酸化物はディーゼル車の排気ガスに含まれる有害物質とされ、自動車メーカーは発がん性物質に関する世界保健機関の基準に沿うために、この実験を委託したと考えられている。

 

これらのテストはドイツ西部のAachenという街で行われ、その結果が公表されていないが、研究者の1人によれば、このテストは必ずしも一般集団に当てはまるものではなく、というのも窒素酸化物だけが排気ガスに含まれる有害な物質ではないからだという。

 

またこの研究グループは2014年にアメリカにおいて、10匹のサルを使いディーゼルの排気ガスを数時間吸引させたとされているが、その後グループは2017年には解散させられたそうだ。

 

EUGTは独立した機関だったと釈明

 

このような事実に対しBMWは声明で「BMWグループは問題の研究には参加しなかった」と説明。一方のフォルクス・ワーゲンは、EUGTが「独立した」研究機関として設立されたものだったと言明した。

 

またダイムラーは声明で、現在広範囲な調査を行っているとし、次のように述べている。

 

「私たちは明らかに、この研究やEUGTからは距離を置いています。このような広範な研究が行われていたことに驚かされています。私たちはその実験に対し強い言葉で非難します」

 

さらにフォルクス・ワーゲンも先週末、サルへの実験が明らかにされた際に謝罪し、「私たちはこのような動物虐待からは明白に距離を置いており、動物実験は私たち自身の倫理基準に相反します」と語っている。

 

フォルクス・ワーゲンの筆頭株主であるLower Saxony 州の知事、Stephan Weil氏も、このような実験に対し「ばかばかしく、憤りを覚える」と非難しており、メーカーの労働者たちも怒りを表しているという。(了)

 

 

出典元:Telegraph:German outrage as it emerges carmakers deliberately tested exhaust fumes on humans(1/29)

記事が気に入ったら
Switch Newsをフォローしよう!


Return Top